アポトーシスの解説と働き

アポトーシスapoptosis

プログラム細胞死順序付けられ、遺伝的にプログラムされた細胞死

細胞の中には、生物が生きている間ずっと維持されるものもあれば、血液や小腸の細胞のように速やかに置き換えられるものもあります。
しかし多くの細胞は一定の間、生きてから死に、幹細胞集団から生じた他の細胞によって置き換えられるようにプログラムされています。

細胞の死には、障害によることなく、遺伝的にプログラムされた死、プログラム細胞死があります。
いわば生理的に起こる細胞死をアポトーシスと言います。
このプログラム細胞死という現象は、直感的には不思議に感じますが、生きていく上で欠くことのできない細胞の運命なのです。
そしてアポトーシスは我々の体が適切に発生し、機能するために不可欠なのです。身体機能にとって細胞増殖と同じく重要なのです。
このアポトーシスとは対照的に、組織の損傷による病的細胞死はネクローシスと言います。

アポトーシスという言葉は、木から葉が”落ちる”、あるいは脱落するという意味のギリシャ語を語源としています。

細胞が自身を破壊する遺伝的に制御される過程で、発生途中や病気において特定の組織で起こります。
アポトーシスは胚でも成体でも正常な細胞数と細胞構成を維持するために重要です。

胎児期に、人の手は最初指と指の間に水かきを持っています。その後水かきの細胞は整然と、かつ正確に死滅します。
胚の時期にあった尾がなくなります。
脳の神経細胞は、他の細胞との間で適切な、すなわち有用な電気的連絡を構築できないと間もなく死滅、実際脳の発生過程では生まれた細胞のかなりの部分がのちに死滅します。
外来のタンパク質や多糖類を識別する任務を負う免疫系の細胞であるリンパ球の中には分化途中では自身の組織に反応する能力を持つものも存在しますが、このような自己反応性リンパ球は、完全に成熟する前に死ぬようにプログラムされています。これらの細胞を成熟する前に抜き取らないと、自己免疫疾患となってしまいます。
成熟卵巣では、月ごとの黄体細胞の消失と余分な卵母細胞と卵胞の除去をアポトーシスの機序によって行っています。

細胞は、生命維持シグナルを受け取ることができなかったり、死のシグナルを受け取ったりして死にます。
(自殺又は殺傷)

全てではありませんが、大部分の多細胞生物を構成する細胞では、生き続けるためにシグナルを必要とします。
多くの場合、栄養因子と呼ばれる生存シグナルがないと、細胞は自殺プログラムを活性化します。

免疫系を含むいくつかの発生過程では、特定のシグナルによって細胞を殺す殺傷プログラムが誘導されます。
細胞死シグナルは、感染への防衛機構としても進化していて、ウイルスに感染した細胞は細胞死シグナルに応答して選択的に殺傷されます。
一方、ウイルスの方は、この宿主の防衛機構を回避することに多大な労力を使っています。

細胞死はウイルス感染同様、有害化学物質の作用にも関連しています。
毒物による奇形は、過剰なアポトーシスから始まることが少なくありません。

死にゆく細胞は実際に自己破壊に必要なタンパク質を生産します。
殺傷killer タンパク質、破壊 destruction タンパク質、貪食 engulfment タンパク質

アポトーシスによる死では、有毒性を持つ細胞成分の放出が回避されます。

傷ついたり、ウイルスの感染などの外傷性の減少に起因する細胞死(ネクローシス)は厄介で、周辺の細胞を傷つける可能性のある有毒な細胞成分をまき散らすことが多くあります。細胞の内容物の放出は、急速な一連の局所反応と白血球の遊走といった炎症反応と呼ばれる精巧な生体反応を引き起こします。このような反応はDNAの損傷や、起こってほしくない反応を引き起こします。

アポトーシスは高度に制御された細胞活性です。
急速に起こり(有糸分裂よりも短時間です。そのため生体組織でアポトーシスに陥った細胞を見つけるのは難しい。)、アポトーシスの細胞は破裂することもなく、細胞の内容物を放出することもありません。細胞は何の痕跡もなく除去されます。生体になんの影響も引き起こしません。

細胞は丸くなって小胞を形成し、クロマチンが凝縮して核が断片化されます

アポトーシスによる細胞死の構造

細胞は縮んで小さくなった後に断片化し、膜に囲まれた小さいアポトーシス小体となって放出され、さらにそれらは、通常、他の細胞によって貪食されます。
このとき核も凝縮し、DNAは断片化。通常では内膜のみに存在するリン脂質が外膜に移動し、食作用を誘導するシグナルとして働きます。
この過程は短時間のうちに処理され、細胞は取り除かれます。

哺乳類細胞のアポトーシスに伴って見られる形態学的及び組織学的変化は、細胞内タンパク質のアスパラギン酸残基を切断するカスパーゼ群の活性化によって生じます。カスパーゼは脊椎動物のプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)の一群です。
1つのカスパーゼがもう1つのカスパーゼを活性化するカスケードの様式で作用します。人には15種類の異なるカスパーゼがあります。

細胞が生存シグナルがないために自殺の方向に向かう場合も、他の細胞からの殺傷シグナルによって殺される場合も、その死では共通の分子経路が作用します。

カスパーゼ14は角化細胞に豊富に存在しています。
カスパーゼはアポトーシスを起こすタンパク質と知られていますが、アポトーシスとは無関係にフィラグリン(プロフィラグリン?)を分解して天然保湿因子を作り、角質の機能に貢献していることが明らかになっています。カスパーゼ14を効果的に発現誘導できれば、皮膚機能の改善につながるのではないかと考えられています。

ミトコンドリアはアポトーシスにおいても重要な役割を担っている。

アポトーシスの初期段階においてミトコンドリアは重要な役割を持っています。

多量の破壊的なフリーラジカル、DNAの損傷、成長因子の枯渇、あるいは酸素や栄養素の欠乏などに反応して、ミトコンドリアからある種の化学物質が外膜に形成された孔を通して放出されます。

サイトゾルに放出された化学物質の1つは、ミトコンドリア内で好気的呼吸に関係するシトクロムcです。
カスパーゼを活性化する中核が、ミトコンドリア内の、エネルギー生産に関する分子、シトクロームCの細胞質への放出です。
シトクロームCは段階を経てカスパーゼを活性化させ、アポトーシスを進行させます。
このシトクロームCを放出させるのは特殊なタンパク質Bclー2ファミリータンパク質。
Bcl−2タンパク質ファミリーには、アポトーシスをする促進タンパク質と、抑制するアポトーシスタンパク質の両方が含まれます。

アポトーシスが起こらないと、癌のような無秩序な増殖が起こる可能性が出てきます。

生体のほとんどの細胞は、DNAに重大な異常が生じた場合に、アポトーシスのプログラムを作動させることができます。
DNAにかなりの数の変異が蓄積した場合、アポトーシスはこのような細胞の増殖を妨げ、細胞がクローンを形成し、やがて腫瘍に成長せさるのを防いでいます。悪性の細胞は、時にアポトーシスの過程を制御する遺伝子を不活性化し、細胞死を免れ、ガンを進行させることがあります。つまり、がん細胞の死を妨げているタンパク質は薬剤の標的として有望です。

効果的にアポトーシスを誘導する薬剤と誘導機構が解明されれば、細胞死経路を操作して、がん細胞を自殺させるようなシグナルを送る抗がん剤や免疫抑制剤を作ることができます。

アポトーシスと幹細胞

哺乳類の発生の際に

哺乳類の発生の際に、組織を作り再生させる潜在能力を持つ幹細胞集団が、通常は発生の後期に細胞死によって失われています。
このような細胞死を選択的に阻止する方法を見つければ、再生はより行いやすくなります。

哺乳類の発生の際に起こるこのような細胞の排除が、両生類は四肢を再生させることができますがが、哺乳類はできないという違いを生んでいるのかもしれません。

ネクローシスnecrosis

急性の障害によって生じ、急激な細胞膜溶解が起こります。
膨張して破裂し、細胞内構成成分を放出。
その物質は、周囲の細胞に損傷を与え、しばしば炎症を引き起こします。この違いは非常に重要です。

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