フィラグリンの解説と働き

フィラグリン・プロフィラグリンfilaggrin・profilaggrin

フィラグリンケラチノサイトのタンパク質。

フィラグリンとはフィラメント(filament)を集める(aggregate)タンパク質(protein)ということで命名された分子です。

フィラグリンは極めて良くできていて、生きている細胞では細胞骨格を破綻させない前駆体で存在し、細胞が死んだ直後では外界からの侵害に耐えられるように細胞をコンパクト化し、さらにその後、小分子に分解され、これらが保水機能を発揮するので、角質層における天然保湿因子の主要な成分となります。

プロフィラグリンケラトヒアリン顆粒の主成分

フィラグリン遺伝子は顆粒層のケラチノサイトで発現します。
まずプロフィラグリンという不溶性で中性の前駆タンパク質として産生されます。

プロフィラグリンは、10~12個のフィラグリンユニットが、短いリンカーペプチドを介して数珠繋ぎに配列しており、その前後にN、C末端配列があります。全体では約400KDaの巨大な分子で、多くのセリン残基でリン酸化を受けています。
このプロフィラグリンはケラチン線維に沈着し、ケラトヒアリン顆粒の主成分として存在します。

プロフィラグリンの半減期は約6時間で、顆粒層のケラチノサイトが角質化するときに脱リン酸化とタンパク質分解酵素の作用を受け、N末端ドメインの切断と、37kDaのフィラグリン分子への分解が起きます。

産生されたフィラグリンモノマーが、ケラチン繊維を凝集することで、ケラチン繊維束が形成され、この役目を終えたフィラグリンモノマーは最初に、アルギニン残基がシトルリンに変換され、それまでに結合していたケラチンから遊離する。
遊離したフィラグリンは、数種の酵素により特異的な分解を受け(小分子に分解)、最終的に天然保湿因子となる。

ケラチン繊維が凝集するために顆粒層の細胞と形態的に大きく異なって扁平化している人のフィラグリン遺伝子は染色体1番の長腕に存在し、その前後には角化細胞の分化に関する複数の遺伝子が配列している。

フィラグリンの機能

フィラグリンはヒスチジン、セリン、グリシン、グルタミン酸などに富んだ、塩基性(pH>10)のタンパク質です。非極性のアミノ酸はほとんど含まれていません。

フィラグリンは角質細胞の形成に際して、ケラチン線維同士を凝集させ、ミクロフィブリル(maacrofibril)を形成します。
プロフィラグリンにはケラチン線維を凝集させる作用はありません。

フィラグリンがケラチンに結合する仕組みとしては、お互いの分子の荷電部位が引き合うためと考えられています。その結果、角質細胞内部のケラチン線維がコンパクトに凝集し、細胞全体が扁平化すると考えられています。
そのため、角質層下層ではコンパクトに詰まった角質細胞内のケラチンの線維間物質として存在します。
またフィラグリンがケラチン分子同士を引き寄せることでケラチン分子間のS−S結合の形成が容易になるとも考えられています。

角質層の上層では、フィラグリンの分化遺産物であるアミノ酸とその誘導体が、天然保湿因子(その40%を占める)として角質層に水分を与えるため、角質層に柔軟さを与え、また落屑に関与する酵素の活性化もはかられます。グルタミン酸由来のPCAはその代表例です。
興味深いことに羊水中や高湿度環境でフィラグリンは分解されないことから、環境の湿度の変化に対応してフィラグリン分解を調節する機構が想定されます。

フィラグリンの分解

フィラグリンののごく一部は、角化細胞が角質層に分化する際に活性化するトランスグルタミナーゼによって、他のタンパクに架橋され、細胞膜上で辺縁体の一部になります。(辺縁体のタンパク成分の中の割合としては1%未満)

フィラグリンのアミノ酸である、ヒスチジン由来のウロカニン酸は紫外線を吸収し、紫外線障害を防ぐ働きをします。実際にプロフィラグリンの分解の異常を起こすカスパーゼ14欠損マウスでは紫外線障害が起きやすくなっています。

N末端ドメインの機能としては、プロフィラグリンを不溶性にし、ケラトヒアリン顆粒として沈着させるという働きが示唆されています。また、カルシウムの貯蔵庫としても働き、自身のカルシウム依存性の修飾や角化細胞の分化を調節するという考えがあります。

フィラグリンが欠乏すると

フィラグリンの遺伝的欠損により、尋常性魚鱗癬になることが知られています。
また、それはアトピー性皮膚炎の主要な発症要因であることも分かっています。

最近フィラグリン遺伝子の近傍に、フィラグリン2と命名されたフィラグリン類似のタンパク質があることが報告されています。フィラグリンと似た挙動を示し、同様に天然保湿因子を提供するという機能を持つ可能性が示唆されています。

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