ヒアルロン酸の解説と働き

ヒアルロン酸hyaluronic acid

ヒアルロン酸は分子量が数百〜数千kDaで、グルコサミンとグルクロン酸の二糖が繰り返してできた長いポリマーです。
ヒアルロン酸はヒアルロン酸合成酵素によって、細胞外マトリックスの中に直接合成され、多量の水と結びついて、密で粘性に富むポリマーの網状構造を形成。それによって、結合組織中の分子の拡散を可能にし、細胞同士を結びつけたり、様々な器官や関節の動きを潤滑し、眼球の形を保つのを助けたりするする重要な役割を担っています。

胚組織においては移動したり増殖したりする細胞を取り囲んでます。
さらにヒアルロン酸は多くの細胞がマトリックス、特に軟骨にある複雑なプロテオグルカン集合体の骨組みを作っています。
ヒアルロン酸には際立った物理的な性質があるため、関節などの様々な結合組織で潤滑剤として働くと同時に、剛性と弾性を与えています。
ヒアルロン酸は線維状コラーゲンのように長く硬い棒ではなく、溶液中では非常に柔軟で様々な立体構造に曲がったりねじれたりして、むしろランダムコイルを形成しています。

典型的なヒアルロン酸分子は、表面に多数の陰イオンがあるため、多量の水と結合し、直径が約500nmの大きな水を含んだ球のように振る舞う。
ヒアルロン酸の濃度が上昇するとともに、長鎖は次第に絡まるようになって、粘性の高いゲルが形成される。低い濃度でさえ、ヒアルロン酸は水和したゲルを形成し、2つの細胞間のマトリックスのような限られた空間に置かれると、長いヒアルロン酸分子は外へ押し出されやすくなる、この外への圧力によって細胞外空間での膨圧が作り出されのです。
さらに陽イオンがカルボキシ基とヒアルロン酸の表面で結合することによって、イオン濃度が上昇し、ゲル内の浸透圧が上昇する。その結果、多量の水がマトリックス内に取り込まれ、膨圧に寄与する。この膨張力によって、結合組織は圧力に抵抗する働きを得ています。これはコラーゲン線維が張力に抵抗する働きと対照的です。

ヒアルロン酸のコートには、粗く水に富む多孔質の性質があるため、細胞に結合したヒアルロン酸は、細胞をお互いに離れた状態にする作用を行い、細胞が動き回ったり増殖したりする自由を与えている。細胞の移動の中止や細胞間接着の開始には、しばしばヒアルロン酸量の低下、ヒアルロン酸を結合する細胞表面分子の減少、そして細胞外マトリックスでヒアルロン酸量を低下させる細胞外酵素ヒアルロニダーゼの増加が相関しています。これらのヒアルロン酸の機能は、分化の際多くの細胞移動の時や、哺乳類の排卵後に卵母細胞が周囲の細胞から離れる時に特に重要です。また白血球は結合組織を通って感染部位に到達でき、精子は受精の際に卵子に侵入することができます。
同じ仕組みで細菌が結合組織を通って広がることが可能になるのです。

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