表皮(角質層・顆粒層・有棘層・基底層)の解説と働き

表皮epidermis

メインイベントは角化、主役はケラチノサイトです。
バリア機能の最前線!
何と言っても外部と接するところです。その仕事は多肢にわたります。

表皮は宇宙服?

表皮の構造

表皮と真皮は基底膜で仕切られ、基底膜上に位置する表皮は厚さの異なる4層からなっています。
深層から基底層1層、有棘層5~6層、顆粒層2~3層、角質層十数層の順で重層しています。

皮膚の仕事は多肢にわたりますが、最も重要な仕事の一つにバリア機能があります。
表皮の最上層である角質層がその役目の大部分を追っていると考えられていましたが、近年、皮膚の顆粒層にあるタイトジャンクション構造もバリア機能において重要であることがわかってきました。

皮膚には、空気による乾燥から細胞を守る頑丈な角質層によるバリアと、
角質層の内側で、生きた細胞と細胞のすき間をぴったりとシールするタイトジャンクションによるバリアの
2つのバリア(二重のバリア)が存在すると考えられるのです。
どちらかというと、角質という構造は、タイトジャンクションバリアの外側で組み立てられる補強的なバリア構造と考えられるくらいです。

大忙しの表皮

表皮は身体の一番外側、外界と接している部分にあたります。
水で満たされた体内の生命環境(約70%)と空気環境との間の境界のためのバリア構造と考えます。

バリア機能は多細胞生物の恒常性維持の根幹です。
表皮の厚さは平均0.1~0.2mm(身体の部位によっては0.04~1.5mm)と、真皮、皮下組織と比べても大変薄く、この薄さで、いろんなものから 下の組織を保護するやら、外からの侵入を阻止するやら、水分の蒸発を阻止し、脱水を防ぐやら、神経と連絡するやら、傷を治す一番手でもあり、大活躍の大忙しです。

表皮は上皮組織

表皮は角化重層扁平上皮で、上皮組織なので、当然ですが、結合組織である真皮とは、基底膜で明瞭に境されています。
表皮真皮境界部は波型の構造になっています。摩擦やズレに対抗しているわけですが、表皮の最外層である角質層は平坦です。

汗腺・脂腺・毛包の通り道となっていますが、血管はありません。そのため、表皮までの切り傷であれば出血しません。
神経の末端はメルケル細胞とランゲルハンス細胞と接触するほか、一部の無髄C線維が表皮まで入り込んでいます。

表皮の細胞複数の細胞が存在する

表皮は、95%がケラチノサイト(keratinocyte:表皮角化細胞、割合には諸説あり80~95%)と呼ばれる細胞によって形成されています。
ケラチノサイトは高度に分化した、自己再生する角化重層扁平上皮で、角化と言われるシステムで表皮の仕事を担い、日々代謝(ターンオーバー)を繰り返しています。

ケラチノサイトの他には、
・メラニン色素を産出する色素細胞(メラノサイト)、
・抗原提示細胞であるランゲルハンス細胞、
・触覚に関係するといわれてるメルケル細胞
などが表皮を構成しています。

上皮組織epithelial tissue

上皮組織は、全身の内表面と外表面を覆い、裏打ちを形成しています。
構成する細胞の形や配置パターン、および1つか複数の層構造への配列のしかたによって分類され、その機能にも幅があります。
皮膚はもちろん、消化管の内側、気道の内側にも存在しています。

特徴として、必ず自由面を持ち、血管は侵入せず、細胞が密に集まっていできているため、細胞は強固に結合し、細胞間質は極めて少量。
通常、上皮組織の細胞は基底膜につながって固定されています。
外部に対する防除、物質の吸収や分泌、濾過、排出、神経組織と連携して感覚などに関与し、1つの個体の中に、科学的にも機能的にも異なる区画を作ります。境界するとも言います。

上皮組織は器官と器官の間や身体と外部環境の境界にあるため、物理的なストレスや障害を繰り返し受けています。
また、細胞分裂能が高く、上皮細胞は常に更新されており、死んだ細胞や障害を受けた細胞が剥離し、新しい細胞と置き換わることによって修復されます。 多くの上皮細胞はサイトケラチンからなる中間径フィラメントを含んでおり、表皮で見られるものは、角化扁平重層上皮(2枚以上の細胞の層を持ち、その名の通り扁平で皿状の平らな細胞)とも言われます。

細胞間接着

身体のほとんどの上皮細胞、およびある種の筋細胞と神経細胞は強固に結合されています。

ケラチノサイト同士はお互いが接着し合い、水分などを漏らさずに強固な結合をしています。
この表皮細胞間および表皮真皮接合部の機構についての理解は皮膚の機能を理解する上でとても重要です。

ケラチノサイトは
デスモソーム(接着斑)や
ギャップジャンクション(裂隙接合)、
タイトジャンクション(密着接合)と呼ばれる構造によってお互い接着しています。
基底細胞はギャップジャンクションを介して細胞間の分化、増殖などのさまざまな情報を伝達し、表皮分化の方向を決定しています。

デスモソームは細胞外で接着 主に膜貫通蛋白であるデスモグレイン(DSG)から構成されており、これらにケラチンが結合して細胞骨格を強固なものにしています。この背着分子も細胞の種類や分化度によって異なるサブタイプをもち、表皮の下層ではDSG3,上層ではDSG1からなります。
デスモソームの角化に伴う発現パターンの変化は、表皮のバリヤ機能の発現には必須です。
角層細胞のデスモソームはコルネオデスモソームと呼ばれています。
有棘細胞はデスモソームでお互いしっかり接着し、表皮の物理的な強度を保っています。

ギャップジャンクションは特殊な細胞間の接着で、構造隣同士の細胞が2~3nmの裂隙をおいて接合する構造をとります。
開閉する中央の穴を通じてイオンなどの1kDa以下の小分子を選択的に隣の細胞に通過させます。
また、基底膜とも、ヘミデスモソームと呼ばれる装置で接着しています。

タイトジャンクションは細胞間隙の物質の輸送を制御している構造です。
ヒト表皮においては、顆粒細胞に細胞をとりまく連続した(網目状)タイトジャンクションが存在することが明らかとなりました。
細胞外液の外部への漏出を防いでいます。結果的にバリア機能に関わっているのではないかと予測されています。
タイトジャンクションは顆粒層に存在し、オクルディン occludin と呼ばれる膜タンパクにより細胞膜同士が網目状に密着し、細胞外液の外部への漏出を防いでいます。隣接する細胞の細胞膜の一部を共有しています。
タイトジャンクションはコネキシンが6つ集まって1つのコネクソンを形成し、それが多数集まった構造をしています。
細胞間接着のみならず、細胞間の情報伝達にも関与しています。

表皮と真皮の結合

基底板は厚さ60~80nm、基底細胞と基底膜の接着はヘミデスモソームが重要な役目をはたします。
基底板の下にはⅦ型コラーゲンで形成される係留線維が半フック状に存在しており
真皮のⅠ型・Ⅲ型コラーゲンと基底版とを強固に結合しています。

基底膜をもっと詳しく

表皮の発生

表皮は、胚の表面を覆う外胚葉 ectoderm に由来します。
最初、受精後4週間の時点では、表皮は単層の外胚葉細胞のみからなります。
受精後7週の初期にはこの単層(基底層と呼ぶ)の細胞が分裂し、表面が胎児表皮と呼ばれる扁平な細胞で保護された層が形成され、約11週までに、基底層が中間層の細胞を形成します。 通常、胎生160日を過ぎると角化現象がみとめられ、表皮の各4層の構造が見られるようになるとされています。

角化システムこれがすごい、機能的にも形態学的にも緻密な、時にダイナミックな変化が進行している。

この角化の最終目的は正常な機能を発揮する角質細胞を形成することです。
つまりバリア機能の形成を保持し、角質保湿機能を担う構造や強靭な組織を作り出すこと。
厳密にコントロールされた遺伝子発現の発端し、間接的に構造体の代謝を調節することにより時間的に空間的に秩序立って行われて、極めて巧妙なメカニズムによって制御されています。

表皮の構造

ケラチノサイトは、表皮の一番下の、一列に並んだ基底層の幹細胞が一定の速度で絶え間なく分裂することから生まれます。
基底層から分裂したケラチノサイトはゆっくりと押し上げられ、徐々に変化(分化)し、形を変え、次第に平たくなり、その過程で物質を形成します。また、ケラチンが蓄積していきます。

この変化が層となって、各種角化マーカーによって、表皮の構造は大きく4層(角質層・顆粒層・有棘層・基底層:摩擦の大きい手掌や足の裏では5層)+基底膜に分けることができます。
基底層の細胞(ケラチノサイト)が分化していく過程で細胞自体に変化が生じて、それぞれの層ごとに異なる細胞構成を持つわけです。
押し上げられたケラチノサイトは、やがて角質層の手前(顆粒層)でアポトーシス(プログラムされた細胞死)し、死んで固くなったケラチノサイトの細胞間が細胞間脂質で埋め尽くされ、角質層が形成されます。つまり角質層は死んだ細胞と脂質でできているのです。
その後、ケラチノサイトはカルビン十四面体のデスモゾームが様々な剥離酵素の関与によって分解されることで角質層の表面から剥がれ落ち、垢として終焉を迎えます。

この様に、普通、ヒトの表皮では、毎分三万個の割合で破片状の死んだ細胞ができ、毎年0.5kg以上の皮膚が入れ替わっています。
平均的な厚さ0.1mm の表皮では、角質層到達までに2週間、垢となって剥離するまでに2週間とされることが多いですが、気候や年齢などにより変動し、およそ1~2ヶ月かかりま す(諸説あり)。
角質層は、機能の低下した古い細胞は垢となり剥がれ落ちる一方、新しい角質細胞が絶えず補給さ れるという動的な平衡で維持しています。表皮全体として消失と供給のバランスが自己複製により維持されていると言えます。
人の場合、正常で1日ほぼ1層が剥離するとすれば、その全層が剥離するのに要する時間、つまりターンオーバー時間 は、四肢や躯幹など体表面では大半では約14層であり大体2週間、10層以下の顔面では1週間くらいです。

身体の場所による皮膚の違い

全身の皮膚は、基本的に同じ様な構造をしていますが、表皮の厚さ、強度、柔軟性、角化の程度、毛の分布と種類、腺の密度と種類、色素沈着、血管分布、神経分布などに関しては、身体のどの部位の皮膚かによって大きく異なります。
細胞が、身体のどの部分を構成するかによってその姿を大きく変えるように、一言で皮膚と言っても、例えば背中の皮膚と足底の皮膚ではその特徴に大きな違いが見られるのです。
部位ごとに最も適した皮膚を配置することが、身体を維持することに大きく貢献しています。

厚い皮膚・薄い皮膚

厚い皮膚
• 手のひら、手指の側面、足の裏などに見られる
• 0.6~4.5mmで特に角質層が厚い
• 淡明層があり、有棘層と角質層が厚い
• 真皮乳頭が発達し、平列しているため、皮膚小陵(指紋など)がある
• 毛包、立毛筋がなく、無毛
• 脂腺がない
• 汗腺が多い
• 感覚受容器が多い

薄い皮膚
• 手のひら、手指の側面、足の裏以外の部分に見られる
• 0.1~0.15mm
• 淡明層がなく、有棘層と角質層が薄い
• 真皮乳頭が発達しておらず、整然としていないため、皮膚小陵がない
• 毛包、立毛筋があり、産毛、毛髮など様々な太さの毛がある
• 脂腺がある
• 汗腺が少ない
• 感覚受容器がまばらに存在する

指紋について

手のひらや指先にある、柔らかく、毛の生えていない皮膚の組織学的構造は、触覚の感度に対して非常に重要な役割を担っています。
その構造のうちの一つ「指紋」は、表皮に平行に走る隆起(皮膚小稜)によって形成されています。
この隆起が、表皮の湾曲によって縁取られ、境界線となって、指や手のひらで細い縞のように見えます。これが「指紋」です。
この境界線が皮膚の剛性や硬さを増強し、外部の物体に触れた時や裸足で歩いた時のダメージから皮膚を防御しています。

また、指紋があることによって、皮膚表面がざらついた構造になるため、摩擦が発生し、手で物体を覆っても滑らないようになります。
もし指紋がなく、表面がスベスベしていると、握った物体は簡単にスベリ落ちてしまい、安定して物体を握るためにはより強い力が必要になってしまいます。瓶のネジ蓋に溝をつけることで開けやすくなることと同様の仕組みです。

物体を触って認識する際にも、境界縁と物体の間での摩擦力によって物体表面の特徴を際立たせることができます。
例えば、このような摩擦力によって木目などの細かい不規則な凹凸を認識することができるのです。

規則正しく間隔を置いた皮膚小稜と、その隆起の間に特定の受容器が精密に局在するおかげで、 私たちは物体の表面を触りながら、物体表面の特徴を認識することができるのです。

爪について

爪は角化性の上皮組織です。
胎生3カ月ころに表皮から分化するとされていて、1日約0.1mm伸長し、爪甲全体の再生には6~12ヶ月を要します。
従来、表皮の角層が特殊に分化したものが爪であると考えられていましたが、 近年はケラチン分子の解析によって、爪は表皮と毛の両方の性状を併せ持つ組織であると考えられています。

爪をもっと詳しく

表皮の構造

それでは表皮における各4層+基底膜について、詳しく見ていきましょう。
表皮→真皮→皮下組織と体の深部に向けて順に説明を勧めるように、
表皮内の4層+基底膜についても、外界に近い角質層から順に説明すればいいのかなと思いますが、
表皮の細胞は大部分を基底層が生み出し、そこから層を形成していくものなので、基底層から説明を始めます。

基底層 基底膜 有棘層 顆粒層 淡明層 角質層

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