皮膚表面の脂質はその90%以上が皮脂、残りは表皮由来の表皮脂質から構成されていて、汗などの水分と混ざり合い、自然に乳化して皮膚を守る皮脂膜を形成します。皮脂膜は外部からの物質の侵入を防ぎ、水分の蒸発を抑え、殺菌作用や保湿作用を現します。
毛包と呼ばれる皮膚の毛穴の中にあります。3種類ある毛包のうち、顔面の皮脂の多くは大きな皮脂腺が多数ある脂腺性毛包由来で、過剰な皮脂は化粧崩れをおこし、ニキビの原因になります。残りは、髪の毛などの終毛性毛包とうぶ毛の軟毛性毛包で、皮脂腺は小さくて数が少なくなっています。
重要なのが成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体化ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモンなど、さらにそれによって放出される甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモン、性ホルモンです。このうち男性ホルモンは、男性では精巣と副腎、女性では副腎と卵巣に由来し、脳下垂体を介して産生分泌されていますが、その中のテストステロンが大きく皮脂腺に作用すると考えられています。
新生児期…副腎由来のホルモンにより活発に皮脂が分泌されるが、6か月ごろまでに急速に減少すします。
思春期・・・女性のほうが早くホルモン分泌が始まるので、皮脂量の分泌時期は男性よりも早く始まりますが、男性はホルモンの分泌が大変多くなるので、やがて皮脂分泌量は女性を上回ります。この時期にニキビができやすいのは、皮脂の分泌が過剰に行われるためです。
中年以降・・・女性はホルモン濃度の低下とともに皮脂の分泌量は減少しますが、男性は精巣からのホルモンの分泌減少が緩やかなため、皮脂分泌は80歳ぐらいまで続きます。更年期以降に女性の肌の乾燥が進むのは、皮脂の分泌量が減ってくるからです。