皮膚とは
皮膚は、人体で最大の面積・重量を有する臓器です。
その面積は1.6㎡(約畳1畳分)、厚さ1.5~4mm、重さは体重の約16%を占め、3kg前後です。(脳は約1.4kg、肝臓は約2kg)
最近では 第三の脳といわれたりもします。
それほど、最近は皮膚がこれまでかんがえられていたより、多くの機能をもつことがわかってきました。
そして、その表面構造を直接目で見ることができる臓器です。
皮膚を断面から観察すると、
の3層構造(皮下組織を皮膚の一部とみなさない場合は2層)をしています。
これらの層は発生が異なり、わかりやすく違った構造をしています。
一番外側、外部と接している部分は表皮です。
ドクターズオーガニックが肌の構造と機能を説明する理由
肌の構造(しくみ)と機能(働き)を理解をしなければ、スキンケアは不十分なものになり、思い込みによる発言や自社製品をうりこむための他社製品の攻撃や、一部分だけを大きく取り上げる偏った情報、○○は危ないという恐怖情報にあっさりだまされたりします。
現在、分子レベルでの解明によって分子の言葉で語れるようになってきました。
20世紀という100年の間に起こった生物科学の発展を見ると、19世紀までの約1900年間で生じたり得られたりした知識と対等となるぐらいの大きな変化や成果が見られました。しかしながら、それらの発展も19世紀までの生物科学の礎があったればこそです。
風説や流布や大げさや金儲けなどの言葉に騙されることなく、科学的に考えたいものです。
どうしたら、退屈で難解な化粧品の基礎医学みたいな文章をわかりやすく伝えられるかということで、漫画形式にしてみました。(現在構築中)最近の皮膚の構造と機能の解明も進んでいます。今までわからなくてあいまいだったから、都合良く解釈されてきたことも多い業界です。ドクターズオーガニックも解明されたことで変わっていかなければならないこことも多々あるでしょう。最新の情報を出来るだけ早くわかりやすくお届けする努力をしていくつもりです。
最近の皮膚医学
ほんの20年くらい前まで皮膚の役割は「バリア機能」という認識でした。
しかし、最近では、生きていくためには環境との境界である皮膚が重要な役割を担っているということがわかってきました。
下記のように、色々な皮膚の機能が明らかになっています。
- 表皮には免疫系のランゲルハンス細胞があること
- 感染を防ぐ抗菌ペプチドを表皮が合成すること
- 脳の中で情報制御に寄与しているタンパク質が、最後は垢になる表皮細胞(ケラチノサイト)に存在すること
- 末梢神経で痛みや温度を感受する受容体が、同じく最後は垢になる表皮細胞(ケラチノサイト)に存在すること
- 表皮が乾燥状態になると、ストレスホルモンとして知られるコルチゾールを表皮が合成すること
- 信頼ホルモンとして知られているオキシトシンも表皮が合成すること
- 近年、皮膚の顆粒層にあるタイトジャンクションもバリア機能において重要であるとわかってきました
皮膚の機能
皮膚は外界に対するFirst line defenseとして重要な機能を担っています。
まず、外来抗原、細菌、ウイルス、などが体内に侵入しないように強固な物質的バリアを形成しています。皮膚は多くの外環境因子に直接接触するため、強固なバリア機能を持っていますが、物理的バリアを突破して侵入した外来抗原のどに対して、免疫のバリア(自然免疫、獲得免疫)を使ってこれらを排除しています。
生体の最外層を覆う臓器として、外界と生体との間に存在する1種のバリアである皮膚は、体内と環境を隔て人体の恒常性を維持するために重要な役割を果たし、そしてその役割を果たすために様々な機能をもち、それを実現するための複雑な構造を有しているのです。
- 外界からの遮断(保護)
- 皮膚は外界からの異物や紫外線の侵入を防ぐとともに、体液成分の喪失も防いでいます。
皮膚表面は脂質膜により弱酸性に保たれており、細菌、真菌の侵入を防ぎます。
また皮下脂肪組織は外力に対しクッションの役割を果たします。 - 体温調節作用
- 脂肪組織による保温、発汗による熱の放散など。
- 知覚作用
- 温痛覚や触覚
- 分泌作用
- エクリン発汗、アポクリン発汗、脂腺からの脂成分の分泌
- 産生作用
- コレステロールやビタミンD3を産生しています。
- 免疫作用
- 各種サイトカインの分泌
- 吸収作用
- 特に毛包脂腺系を通じて行われます。
- 血液の貯蔵庫
- 真皮には豊富な血管網が含まれており、休息中の成人では総血流量の8~10%が真皮に蓄えられています。
体幹や四肢の健康的な皮膚の角層は分子量500(300とも)以上の物質の透過を防ぐ機能を有しています。
※ただし、大きさだけでない
皮膚は、弾性や可塑性などの強度を持ち、物理的・化学的な反応で栄養や水分の代謝、体温調節などを行い、
さらに紫外線や化学物質、微生物に対する防御を行っています。
皮膚の排泄
角質層は防水性であるにもかかわらず、1日およそ400mlの水が角質層を通して蒸発します。
更に、座業の人では200ml/日を汗として失い、身体活動の盛んな人ではより多くの水を失うことになります。
汗は身体から水と熱を取り除く他、小量の塩、二酸化炭素、タンパク質が分解して生じる2種類の有機分子…すなわちアンモニアと尿素を排出する運搬隊にもなります。
皮膚の吸収
皮膚を通る水溶性物質の吸収は無視できる程度です。しかし、ある種の脂溶性物質は実際に皮膚を透過します。
脂溶性ビタミン(A 、D、E、K)、ある種の薬物、酸素と二酸化炭素がこれに含まれます。
皮膚を介して吸収される毒物…アセトン(一部のマニュキアおとし)
・四塩化炭素(ドライクリーニング溶剤)などの有機溶媒、や鉛・水銀・ヒ素などの重金属塩、ツタ漆や漆中の物質、コルチゾンなどの皮膚に塗布するステロイドは脂溶性で、容易に真皮の乳頭層にはいっていきます。(※コルチゾンはそこで肥満細胞によるヒスタミン産生を阻害し、抗炎症作用を発揮します)
皮膚から吸収されるある種の薬剤は、粘着性パッチを貼付することにより投与できます。(ニトログリセリン、ニコチンパッチ、フェンタニルなど)【トートラ 人体の構造と機能 第4版 丸善出版より】
ドクターズオーガニックのスキンケアに対する考え方
ドクターズオーガニックでは、無理に分子を小さく(ナノ化、ピコ化)して色んな成分を皮膚に浸透させることは、皮膚が免疫機能をになっていることから、その成分を異物と認識するのではないかと考えています。
スキンケアのターゲットは表皮、そしてスキンケアは保湿が要と考えています。肌表面を保護(保湿)すれば外からのダメージを受けることを防ぐだけでなく、傷ついた細胞を修復する(自己回復力)チャンスも得られます。