皮脂腺
皮脂腺は、皮脂を産生する器官で、ワックスエステル、スクアレン、トリグリセライドなどにより構成されています。
漏斗部に開口しており、皮脂は毛包から皮膚表面に出ます。
皮脂腺は手掌、足底を除いたほぼ全身に分布していて、
特に発達した皮脂腺が多数集まった部位を脂漏部位と言います。
脂漏部位では400~900個の/cm2の皮脂腺が存在し、他の部分と比べて分布の密度が濃くなっています。
皮脂腺は、毛器官がある部位には必ず付随して存在しています。
そのため、付随している毛包の種類によって、以下の3つに大別され、それぞれ異なった特徴を持っています。
また、いわゆるニキビは、この3つのうちの「脂腺性毛包」に生じる代表的な肌トラブルです。
- 脂腺性毛包
- にきびの発症母地
- 顔面、前胸部に多く存在する
- 細く短い毛
- 深く広い毛包内腔(内腔径は毛髪径の5倍超)
- 長い漏斗部
- 薄い上皮壁
- よく発達した皮脂腺
- 終毛性毛包
- 頭部に多く存在
- また、思春期以降の二次性徴に関連した部位などに多く存在
- 太く長い毛
- 発達した毛根
- 発達した皮脂腺
- 軟毛性毛包
- 終毛性毛包をミニチュア化した構造
- 2mm以内の細く短い毛
- 毛球部のほとんどが真皮内に存在している
- 狭い毛包内腔
- 小さな皮脂腺
脂腺の発生
脂腺の大部分は、4ヶ月前後で毛包の側面から発生し、毛包とつながった状態を維持する。
また、毛がない部位では直接皮表に開口する皮脂腺も存在しており、
これを独立脂腺(free sebaceous gland)と言います。
独立脂腺は口唇、頬粘膜、乳輪、膣、陰唇、鬼頭、包皮内板、肛門などに分布し、眼瞼のマイボーム腺(Meibom)もこの一種です。
皮脂腺の機能を制御する因子として最も重要なものが内分泌因子です。
内分泌因子には脳下垂体、副腎皮質、性腺などで生成されるホルモンがあります。
これらのホルモンが皮脂腺の大きさ、細胞分裂、皮脂生成を増加させ、その結果として、皮脂分泌を亢進させると考えられています。
その中でも、最も重要な因子が男性ホルモン(テストステロン)です。
その他、脂肪酸の一種であるリノール酸はその濃度によって脂腺細胞の増殖を促進し、
同じく脂肪酸の一種であるパルミチン酸は増殖を抑制します。
何百万もの毛包を包む脂腺から分泌された皮脂は、体温によってすぐに液化して広がる。
この皮脂が皮膚で水を弾いたり、特定の微生物の成長を妨げる抗菌性を発揮したりし、また毛の傷みを防いだりする。
皮脂線は手掌や足底など厚い、毛のない(無毛の)皮膚を除いたほとんどすべての体表の真皮に埋没している。
皮脂腺は枝分かれした腺房からなる分泌線で数個の腺房が1本の短い道管に集合する。
毛包の中で膨らんだ部位は幹細胞が集まったニッシュ(陥凹)で、ここから毛包、毛基質、隣接する表皮、付属する皮脂腺などの細胞が生まれる。
腺房は基底板の上にある未分化の扁平上皮細胞で構成された基底層からなる。
これらの細胞は増殖して線房の中央へと押し上げられ、最終的には脂肪産生能を持った極めて大きい皮脂細胞へと分化する。細胞質には脂肪小滴が充満している。
核は萎縮し、他の細胞内小器官とともに自己融解し、道管付近で細胞自体が崩壊して脂肪を放出する。この過程を経て出来上がった産物が皮脂 sebum (グリース状の液体)で、毛包や道管に沿って次第に移動した表面に至る。腺被膜の内側に分布する辺縁細胞は休むことなく着実に増殖する。
そのために皮脂はゆっくりと絶え間なく道管の方へ押し出される。
皮脂は分泌後に細菌酵素によって加水分解される。
皮脂腺からの分泌は思春期に著しく増加し、男性では主にテストステロンによって、女性では卵巣性アンドロゲンと副腎性アンドロゲンによって促進される。皮脂は絶えず分泌されます。皮脂の正常な分泌や流れが障害されると痤瘡(ニキビ)acne の増悪につながる。
腺はフラスコ形で、切片ではしばしば泡のように見える細胞がぎっしりと集合している。
表面から約3分の1の深さでここの毛包は1ないし複数の皮脂腺に取り込まれでいる。
皮脂腺は毛包を取り囲む結合組織鞘の中にあり、腺上皮は外根鞘の飛び出したもの。
道管に向かうにつれ、腺房細胞の脂質の量は著しく増加する。
戻る
皮脂
次に、皮脂腺で産生される皮脂について。
皮脂を構成する成分は、ワックスエステル(約25%)、スクアレン(約12%)、トリグリセライド(約60%)などです。
(※ワックスエステル、スクアレン、トリグリセライドなどを構成する脂肪酸は、ほとんどが皮脂腺内で合成されています。)
その他、皮脂は皮脂腺内で、脂腺細胞が全分泌することで産生されるため、脂腺細胞崩壊物質が含まれています。脂腺細胞膜などの産物である、コレステロールエステルなどが含まれるのはこのためです。
皮脂膜の約90%以上は、この皮脂に由来しています。
※残りの約10%は、皮膚表面の角質細胞が垢として剥がれおちる際にでる表皮脂質(垢として剥がれおちる角質細胞と、その中に含まれている天然保湿因子やその他のもの、さらにラメラ構造を有する角質細胞間脂質など)と汗の成分になります。
皮脂腺は全分泌腺
分泌物を皮膚の表面に開く管へ放出する腺を「外分泌腺」といいます。
外分泌腺は、分泌物の放出様式によって機能的に3つに分類されていますが、分泌の過程はいずれも粗面小胞体とゴルジ装置が共同して、分泌物を含んだ細胞内分泌小胞をつくることからはじまります。
なお、分泌様式は
に分けられます。
全分泌腺では、分泌物が細胞質内に集積し、次第に変性し、やがて破裂、それ自体が分泌物になります。
この分泌様式では細胞が破裂するため、分泌物には細胞膜や細胞内膜系に由来する大量の脂質が含まれることになります。
皮脂腺内では、剥離した細胞を置き換えるように新しい細胞が出現します。
脂腺細胞は、最も外側、すなわち基底膜に接するところでは低い立方形ないし扁平で、球状の核を持っています。
腺体の中心に向かうとともに、胞体に次第に脂肪滴を貯え、充満して、細胞は大きく多角形となります。
胞体が脂肪滴で満たされると、核は圧され萎縮して、不規則な形状となり、ついに消滅します。
こうして、腺細胞は腺体の中央部で退化に陥り、そのまま分泌物となって放出されます。
全分泌によって脂腺細胞は失われますが、一方、脂腺細胞は分裂によって補給されます。
細胞の分裂・増殖は腺体の基底側、とくに腺体と導管との移行部の上皮細胞にみられます。
導管は短く、重層扁平上皮ででき、毛胞の外根鞘あるいは表皮に連なっています。
皮脂の成分の内、ワックスエステルやスクアレンは安定しており、通常は加水分解されないので、皮膚表面や毛包内に存在する常在菌による分解(リパーゼ作用)を受けません。
一方で皮脂の大部分を占めるトリグリセライドは毛包内常在菌(主にアクネ菌)により加水分解され、その結果、脂肪酸が生じます。
皮脂は、もともと硬く流動性の低い脂質ですが、毛包内常在菌により加水分解され、脂肪酸が生じ、さらに加水分解の際に生じる塩が活性剤となり、脂質が低粘度分泌液として、毛包から皮膚表面に分泌されます。(その際、立毛筋が関与します)
ヒトの皮脂の脂肪酸組成の特徴は、特異な二重結合部位や分枝鎖を持つ脂肪酸を有すること。また、そのほとんどが飽和脂肪酸とモノ不飽和脂肪酸です。炭素数は14~18が主体で、特に炭素数16の脂肪酸が主要成分となります。
※皮脂は脂腺細胞の全分泌から排出されるため、脂腺細胞の増殖と分化の度合いによって、その量は左右されます。
- ワックスエステル(約25%)
- ワックスエステルは、脂肪酸と高級(=炭素の量が多いこと)アルコールの化合物です。
一般には炭素数の合計が11以上のものを指します。
-
まず、トリグリセライド(TG)の脂肪酸組成を比べると、不飽和脂肪酸の占める割合が多いのがワックスエステルの特徴です。
また、サピエン酸(C16,1△6)という他の組織では見られない脂肪酸が多く見られます。
人体において、通常多く見られる「炭素数16+二重結合1つの不飽和脂肪酸」はパルミトレイン酸(二重結合位置:9位)です。サピエン酸はこの二重結合の位置が違うのです(二重結合位置:6位)。「サピエン酸」の名前は「ホモ・サピエンス」から来ており、毛の生えた動物の中では、ほぼヒト特有の脂肪酸。そして人体の他の臓器では見られない、皮膚特有の脂肪酸です。
-
さらに、老年者でも若年者でも重量比では変わらず、加齢とともに絶対量では減少しても、全体に対する割合はほとんど変わりません。
- 皮脂が人の身体がふさふさの毛に覆われていた頃の名残で、あまり役には立っていないという考えもあるようです。
しかし、以上の理由から、ワックスエステルは皮膚の生理的機能を果たす上で、何か重要な役割をはたしていると想定しました。
ワックスエステルは人の他の組織に見られる脂質成分とは構造的、機能的にかなり異質のもので、動物の皮膚に見られるような、生体の外界からの保護作用を同様に司るために存在していることが考えられます。(皮表脂質ワックスエステルの加齢による変化について 日本皮膚科学会誌:92(8)861-864 1982 穐利豊 松尾聿朗 大城戸宗男)
※ちなみに、皮表に存在するワックス成分は、一般に「ワックスエステル」と呼ばれますが、これは長鎖炭化水素であるパラフィンワックスと区別するためです。
-
皮表に存在するワックスエステルは「モノエステル型」と「ジエステル型」に大別されますが、
ヒト成人の皮表脂質中に見られるワックスエステルはモノエステル型で、ジセステエルワックス型はほとんど含まれていません。
ジエステルワックスは種々の動物の皮表に1型2型として大量に存在し、ヒトでは胎脂中にのみ、2型がわずかに存在するに過ぎません。これは、人間が全身毛で覆われていた頃の名残りと思われます。
ワックスエステルはヒト皮表脂質中ではトリグリセライドについで多く含まれていますが、動物では逆にトリグリセライドは少なく、ワックスエステル、特にジエステルワックスが多くあります。
このことは、トリグリセライドとジエステルワックスとが平均分子量や構造が似ており、しかも同じような物理的構造を持つことと関連があると思われています。そのため、ジエステル型ワックスは、トリグリセライドよりわずかに極性も低く、分解もされにくいので、毛の密生した動物に対して保護作用が優れていると推論されています。
ワックスエステルは生下時にはすでに成人とほぼ同量が含まれていますが、生後1-2ヶ月には減少し始め、思春期に増えはじめます。
- スクアレン(約12%)
- スクアレンはコレステロールの前駆物質です。炭化水素で酸化されやすいという特徴を持っています。
炭素30個であること、表皮細胞では生成されないこと、トリグリセライドと異なり皮表に排泄される間に、主として細菌由来のリパーゼによって分解を受けないこと、1分子中に6カ所の不飽和2重結合を有しており、酸化されやすい構造になっていること、といった特徴を持っています。
新鮮ではないスクアレン原料には皮膚刺激性があり細胞毒性を発現することを確かめており、酸化されたスクアレン(スクアレン過酸化物)は皮膚に対して何らかの生理的/毒性的を有していることが推察されました。
- トリグリセライド(約60%)
- 直鎖脂肪酸(おおむね炭素数7以上)であるトリグリセライド(グリセリンエステル)は、いわゆる「脂肪」です。
ちなみに、分泌直後は皮脂の約60%を占めるトリグリセライドですが、皮脂腺と皮膚表面の間に(毛穴の中)既に常在菌(アクネ菌など)が存在するため、皮膚表面に出た時点では、トリグリセライドは分解され始めており、その割合は少なくなっています。
トリグリセライドは血中のものを利用するため、食事の影響を強く受けています。
皮脂量に影響を及ぼす因子
- 年齢
- 年齢により皮脂の分泌量は変化します。(左図:額における皮脂のワックスエステルの分泌量の加齢変化 美容皮膚科学 改訂2版より)
新生児は多く産生されますが、小児期では少なく、思春期から再び増加します。
女性では10~20歳代に、男性では30~40歳代にピークを迎え、以後減少します。
60代では、皮脂量は20代の5~15%程度になってしまいます。
- ホルモン
- 脂量の調節は主に性ホルモンによってなされ、
男性ではテストステロン、女性では副腎アンドロゲン、新生児では母親由来ホルモンが重要とされています。
- 季節
- 季節によっても皮脂分泌量は変化すると言われています。
- 月経
- 卵胞期・排卵期に対し、黄体期第1週目で皮脂量は増加するとされています。
皮脂やその加水分解物の抗菌的な作用が示唆されています。
また、脂腺が皮膚の免疫機能の一部を担うという考えもあり、
脂腺から分泌されるビタミンEが皮表脂質や角層の酸化を防いでいるかもしれないとの推測もされています。
------------------追加分
何百万もの毛包を包む脂腺から分泌された皮脂は、体温によってすぐに液化して広がります。
この皮脂が皮膚で水を弾いたり、特定の微生物の成長を妨げる抗菌性を発揮したりし、また毛の傷みを防いだりするのです。
皮脂線は手掌や足底など厚い、毛のない(無毛の)皮膚を除いたほとんどすべての体表の神秘に埋没しています。
枝分かれした腺房からなる分泌線で、数個の腺房が1本の短い道管に集合しています。
毛包の中で膨らんだ部位は幹細胞が集まったニッシュ(陥凹)で、ここから毛包、毛基質、隣接する表皮、付属する皮脂腺などの細胞が生まれるのです。
腺房は基底板の上にある未分化の扁平上皮細胞で構成された基底層からなります。
これらの細胞は増殖して線房の中央へと押し上げられ、最終的には脂肪産生能を持った極めて大きい皮脂細胞へと分化します。
細胞質には脂肪小滴が充満しており、核は萎縮、他の細胞内小器官とともに自己融解し、道管付近で細胞自体が崩壊して脂肪を放出します。この過程を経て出来上がった産物が皮脂 sebum (グリース状の液体)で、毛包や道管に沿って次第に移動した表面に至ります。
腺被膜の内側に分布する辺縁細胞は休むことなく着実に増殖し、そのために皮脂はゆっくりと絶え間なく道管の方へ押し出されます。
なお皮脂は分泌後に細菌酵素によって加水分解されます。
皮脂腺からの分泌は思春期に著しく増加し、男性では主にテストステロンによって、女性では卵巣性アンドロゲンと副腎性アンドロゲンによって促進されます。
皮脂は絶えず分泌され、その皮脂の正常な分泌や流れが障害されるとニキビ(acne)の増悪につながります。
腺はフラスコ形で、切片ではしばしば泡のように見える細胞がぎっしりと集合しています。
表面から約3分の1の深さで個々の毛包は1ないし複数の皮脂腺に取り込まれでいて、皮脂腺は毛包を取り囲む結合組織鞘の中にあり、腺上皮は外根鞘の飛び出したものにあたります。道管に向かうにつれ、腺房細胞の脂質の量は著しく増加していきます。
角層の脂質は2種類あります。1つはラメラ構造を形成するケラトヒアリン顆粒に由来する細胞間脂質、そして脂腺から放出される皮脂です。成分が違っています。
細胞間獅子は角層の深部から存在していますが、皮脂は毛穴を通って直接皮膚表面にまき広がるので、外部と接触する皮膚表面に存在します。
皮脂の役割については、いろんな説があり、極論では人間が体毛を豊富に持っていた時の名残以外の何物でもないという説もあります。
それどころかニキビの原因になる悪いものとして認識をしている人もたくさんいます。
しかしながら皮脂の存在しない状態の皮膚はガサガサの乾燥肌になります。皮脂の分泌がない手やかかと部分は長風呂をするとふやけやすいことから濡れやすくなっていると考えられるためです。
皮脂は人間にとって重要な役目を果たしています。
皮脂成分を哺乳類の中で比較すると、ネズミも猫も犬も馬も羊もそして猿も皮脂腺からコレステロールを分泌しており、スクワランを分泌していません。
人間はコレステロールではなくスクワランをもっぱら分泌しています。
これはスクワランの方がコレステロールより水を弾くからではないかと考えられています。
体毛をほとんど失った人間は、表面を水が弾くということは大事なことになります。(コレステロールの分子は水になじみやすいOH基を持っており、スクワランは炭素と水素だけの化合物です)
戻る
表皮脂質
皮脂膜を形成している要素で、皮脂以外のものに「表皮脂質」があります。
垢として剥がれおちる角質細胞と、その中に含まれている天然保湿因子やその他のもの、さらにラメラ構造を有する角質細胞間脂質などが表皮脂質にあたります。皮表脂質(皮脂+表皮脂質)に汗の成分が加わり、皮脂膜が構成されているのです。
※遊離脂肪酸は漏斗部や皮表でトリグリセライドが常在菌のリパーゼ作用などで加水分解されて生じる。
------------------追加分
角層の脂質は2種類あります。
1つはラメラ構造を形成するケラトヒアリン顆粒に由来する細胞間脂質、
そして脂腺から放出される皮脂です。
成分が違っています。
細胞間脂質は角層の深部から存在していますが、皮脂は毛穴を通って直接皮膚表面にまき広がるので、外部と接触する皮膚表面に存在します。
皮脂の役割については、いろんな説があり、極論では人間が体毛を豊富に持っていた時の名残以外の何物でもないという説もあります。
それどころかニキビの原因になる悪いものとして認識をしている人もたくさんいます。
しかしながら皮脂の存在しない状態の皮膚はガサガサの乾燥肌になります。
皮脂の分泌がない手やかかと部分は長風呂をするとふやけやすいことから濡れやすくなっていると考えられるためです。
皮脂は人間にとって重要な役目を果たしています。
皮脂成分を哺乳類の中で比較すると、ネズミも猫も犬も馬も羊もそして猿も皮脂腺からコレステロールを分泌しており、スクアレンを分泌していません。人間はコレステロールではなくスクアレンをもっぱら分泌しています。
これはスクアレンの方がコレステロールより水を弾くからではないかと考えられています。体毛をほとんど失った人間は、表面を水が弾くということは大事なことになります。
(コレステロールの分子は水になじみやすいOH基を持っており、スクアレンは炭素と水素だけの化合物です)
戻る
皮表膜(皮脂膜)
皮脂と表皮脂質が肌上で混じりあったものを皮表脂質と言います。
さらに、この皮表皮質が汗などの水分と混じり合い、乳化されて、膜状になったものを皮表膜と言います。
通常私たちが「皮脂膜」と呼んでいるものは、この皮表膜のことです。
ドクターズオーガニックでは皮表膜を「皮脂膜」として表記統一しています。
皮脂膜の働き
- 水分蒸発量を抑制
- 柔軟性や弾力性を与える(エモリエント効果)
- 角質層の過度な剥離を防ぎ、滑らかにする
- 有害物質の侵入と感染の防御(皮脂膜は皮膚にとって、FirstDefenseです)
- 熱伝導率が低いため、暑さや寒さから身体を守る
- 皮膚常在菌のえさになる
皮脂が不足すると、皮脂膜が十分に機能しなくなり、様々な肌トラブルを引き起こします
皮脂が不足すると、見た目に鱗屑や亀裂が付いてかさつくだけでなく、皮膚の柔軟性がなくなり、亀裂を生じたり小じわや肌荒れを引き起こします。表皮がアルカリに傾き
外界から身を守るバリア機能も低下してしまいます。
一方で、皮脂が多すぎると皮脂腺を塞ぎ、座そう(にきび)を引き起こす原因となります。また、常在菌として存在する微生物が皮脂を栄養源として異常繁殖することでトラブルを起こすこともあります。
皮脂は時間が経つと酸化して過酸化脂質になり、これは皮膚への刺激となりますので、洗顔で落としていただきたいものの1つですが、分泌量が多いことは、つまり刺激物が多いということになります。
他にも肌がべたついてホコリや雑菌がくっつきやすくなることも挙げられます。
皮脂は水分の補給はしませんが、皮膚の表面を閉塞し、水分を貯留するため、結果的に時間とともに角層の水分は増え、次第に皮膚を柔軟にする性質を示すため、エモリエント効果を持つとされています。
また、皮脂の主成分トリグリセライド(中性脂肪)が常在菌由来のリパーゼで分解され、脂肪酸とグリセリンに変わり、グリセリンが高い水分保持機能を示します。
その他にも、最近の皮膚医学では、「皮脂やその加水分解物のには抗菌的な作用が示唆されている」「皮脂腺が皮膚の免疫機能の一部を担う」「脂腺から分泌されるビタミンEが、皮表脂質や角層の酸化を防いでいる」という推測が数多くされています。
- 老人性乾皮症
- もともと角層の水分保持機能が低い乳幼児や老人には乾皮症がよくみられます。
低湿で発汗や皮脂量が減少する冬期に多くみられ、さらに発汗や皮脂の分泌が少ない体幹や四肢がより乾燥します。
高齢者では角層が厚く(ターンオーバーが遅い)バリア機能が良いため、体内の水分が角層表面までいかずに皮膚が乾燥します。
しかし脂漏部位(ほぼTゾーンに相当)である顔面には認めず、皮脂の少ない下腿に乾燥症状が強く出現します。
皮脂が少ないことが原因とされてきましたが、実質的にセラミドの量的低下に起因していることがいわれています。
ドクターズオーガニックでは乾皮症の保湿スプレーを開発中です。
戻る