基底膜の解説と働き

基底膜基底板/basement membrane/接着・分離・フィルター・足場・支え・伝達

基底膜とは

基底膜

表皮と真皮が接している部位は基底膜と呼ばれています。
厚さわずか0.1マイクロメートルのデリケートな膜です。

基底膜の機能何のためにそこに?

基底膜

支持、柔軟性
上皮は細胞間物質が極めて少なく、密に詰まった細胞の塊。基底膜はその上皮の機械的支えとなっています。
連結、結合、固着、つなぎとめる、接着(分離)
上皮をその下の結合組織(真皮)に固着するとともに分離しています。
細胞間相互作用
組織の構築や成長を助けるための、各種の細胞間相互作用のために必要な情報が含まれていると推定されています。
通過・濾過
上皮には血管がないので、基底膜は栄養物や、代謝物、その他の分子が、上皮から下層へ、また下層から上皮ヘ向かって通過できるものでなくてはなりません。これらの物質の拡散に際して(血管がないということは拡散するしかありません)、細胞性・分子性の選択的フィルターになっています。
増殖や分化への関連、障壁
上皮が下方に向かって増殖しないよう、通過不可能な障壁となっています。基底膜(基底板)は細胞極性に影響し、増殖因子を結合・濃縮させることにより細胞の増殖や分化を制御しています。
また、成長や創傷治癒の過程で上皮細胞が移動するための面を作ります。
シグナル伝達
隣接する細胞膜のタンパク質を組織化することでシグナル伝達を制御し、また細胞が移動できる道筋を示すことができます。

加齢や紫外線が原因で基底膜がダメージを受けると、表皮と真皮の結びつきが弱まることで、その機能が阻害されてしまい、肌の老化を招きます。

皮膚以外でもみられる基底膜

表皮の最下部にある基底細胞は、ケラチンタンパク質から作られたケラチノサイトから成り立ち、
真皮はコラーゲン線維とエラスチン線維が作った網目構造の結合組織からできています。
このように、成り立ちが違う組織が接し合うためには、特殊な構造が必要になります。その「特殊な構造」が基底膜というわけです。
そのため、基底膜と同様の薄膜は、筋組織や神経組織が結合組織と接する面にもみられます。(血管内皮や脂肪にも見られます)
この場合には基底膜(基底板)に相当する層は外板(externsl lamina)と呼ばれます。

基底膜がそれぞれの細胞を取り囲んでます。(例えば神経支配を失った筋細胞が新たに神経筋節接合部位をつくるためには、筋細胞のまわりに基底板が必要です)
なお、基底膜は、組織が異なれば構造も異なります。

腎臓の基底膜

腎臓では、糸球体基底膜という二重の基底膜が、尿腔を裏打ちする上皮と周辺の血液が満たされた毛細血管を裏打ちする内皮細胞とを分離しています。
この構造は、血液の限外濾過と尿生産の最初の過程を担っており、この構造が損なわれると腎不全になります。

血液脳関門

血液と脳の間を血液脳関門と言います。
腎臓の特殊化した基底膜と同じように、血液の選択的フィルターとして、分子の拡散を制限する強固な障壁を形成するために基底膜は使われています。

発生において移動する細胞を導く

例えば、胚発生では4細胞期、8細胞期の細胞が、基底膜によって接着するようになります。
神経系の発生では、神経細胞が基底膜構成成分を含む細胞外マトリックスの経路によって移動します。

基底膜の構造基底膜は結合組織の線維と基質の特別な集合体

基底膜模型と構成タンパク質

基底膜は、結合組織の線維と基質の特別な集合組織で、細胞外マトリッククスタンパク質がシート状に配列した構造物です。

電子顕微鏡で見ると、基底膜は3つの層からなっています。(基底板と細網板と2つの層に分け、基底板を透明板と緻密板に分ける考え方もあります。この場合緻密板を基底板として扱います)

基底膜は3層からなる

基底膜の存在する細胞外マトリックス構成成分の大半は、基底膜の上に存在する細胞によって合成されます。

基底膜の片側の面はヘミデスモソームの中に存在し、基底膜の中にあるラミニンと、α6β4インテグリンなどの接着受容体によって結合しています。 基底膜のもう一方の面は、プロテオグリカンに富むマトリックスに埋め込まれたコラーゲンの繊維層(皮膚の場合は網状層の7型コラーゲン)によって隣接する結合組織に結合しています。

基底膜と基底板

基底板と基底膜という2つの用語はしばしば混同されて用いられて混乱を招いています。
その理由は、始め光学顕微鏡が発明されて、1層にみえたもの(電子密度が高い)これに名前を付けたものこれが基底膜です。その名前の由来は表皮の基底細胞の下に存在する基底膜が最初に見つかったという事実に由来しています。

そして20世紀半ばに電子顕微鏡が発明されてから、実は基底膜は3つの層(透明板・基底板・線維細網板)に分かれている、3つの層で構成されている、3つの層に相当するということが判明したわけです。

透明板lamina lucida/【薄層 lamina rara 】

基底膜模型と構成タンパク質

・基底板(緻密板)と細胞膜との間にある厚さ10~50nm
・比較的電子密度が低い(明るい層に見えます)
・ラミニンの性質により陽性荷電+となっている

透明板には17型コラーゲン(長い分子)が、透明帯を貫通してヘミデスモソームと基底板(緻密板)を直結させています。
デスモソームとよく似ていますが構成成分は全く異なっています。
ヘミデスモソームにも基底細胞のケラチン中間径フィラメントが結合しており、細胞の形態を保持しています。
透明板は細胞内アクチン・中間径フェラメントと緻密層との間を架橋するインテグリンを含んでいます。
ラミニンは透明板に豊富で、細網板に存在するコラーゲン原線維(Ⅳ型)とともに構造的なネットワークを形成しています。

基底板lamina densa/[緻密板 lamina densa ]

 

基底板の厚さは組織によって異なり、20~300nm電子密度の高い薄層です。
透明板と基底板の結合は、上皮細胞の細胞膜にあるインテグリンに結合する糖蛋白ラミニンがあり、その下の基底板にあるⅣ型コラーゲンと結合しています。

線維細網板lamina fibroreticularis 【細網板 網状板】

基底板の下側には、多糖類・糖蛋白に富む基質に埋まって細網線維の薄層があります。このような薄層を線維細網板 lamina fibrotrticularisと呼びます。
これと下方の結合組織の境界は明瞭でないので、厚さは不明 おそらく下層の結合組織が密になったものです。
・比較的電子密度は低い
基底板と細網板の結合は、基底板がⅦ型コラーゲンからなる係留線維 anchoring fibril を介して結合組織の細網線維 reticular fiber (3型コラーゲンよりなる)と結合しています。更に下方の膠原繊維(Ⅰ型コラーゲンよりなる)に結合することもあります。
組織学では線維細網板まで入れて、基底膜となっています。
細網線維は毛細血管の周囲、基底膜の中、腎尿細管の周囲などに線維網をつくっています。

基底膜の成分

基底膜の構成分子は三次元的に整然と配列しています。
これらの成分はすべて上皮の基底面より分泌されます。つまり上皮細胞によって形成されるということになります。(ただしフィブロネクチン・コラーゲンは結合組織の繊維芽細胞よりつくられていると考えられており、この辺は資料によって異なります)

基底膜と外板の主成分これらの成分比率は組織の部位ごとに異なる
・ヘパラン硫酸(グルサコミノグルカン)heparan sulphate
・Ⅳ型コラーゲン collagen taye Ⅳ 太さ3〜4nmの微細な線維 基底膜特有
・フィブロネクチン fibronectin 構造糖タンパク質
・ラミニン jamina lucida 大型の糖タンパク質 上皮細胞の細胞膜にあるインテグリンに結合する Ⅳ型コラーゲンを他の基底膜成分や実質細胞の基底側細胞膜にあるラメニンレセプターと結びつけている。上皮細胞の細胞膜にあるインテグリンに結合する
・エンタクチン entactin  ラミニンとⅣ型コラーゲンの結合を仲介する
透明板
ラミニンが豊富 フィブロネクチン、ヘパラン硫酸、プロテオグリカン
基底板
太さ3~4nmの微細な腺維がフェルト状に交織して出来る。他の構造タンパク質にはヘパラン硫酸プロテオグリカンとエンタクチンがある。
細網板
多糖類 糖蛋白に富む基質に埋まってⅢ型コラーゲンからなる細網線維 また、基底板のⅣ型コラーゲンからのびる細線維(係留線維)がみられ、更に下方の膠原繊維(Ⅰ型コラーゲンからなる)に結合することもある。

上皮組織と結合組織

上皮組織と結合組織の主要な構造の違い

・細胞外マトリクス(細胞同士の間にある物質)に対する細胞の数

・上皮組織では多数の細胞が強固に結合していて、細胞外マトリクスはわずかにあるか全く含まれていない。

・一方、結合組織では、通常細胞が広く分散していて、大量の細肪外物質が細胞を隔てている。

・上皮組織には血管がないが、ほとんどの結合組織には著しい血管網がある。

・ほとんどの上皮組織はからだの表面の層をなしていて、他の組織には覆われていない。

・唯一の例外は血管の内宮を覆う上皮で、ここでは常に血液が上皮の上を通過している(血管の裏打ちは内皮と呼ばれ、上皮に含めないこともある)

・上皮組織には血管がなく表層を形成しているため、上皮組織は血管の豊富な結合組織と直に接していて、酸素と栄養素の供給および老廃物の排除という上皮組織の維持と機能にとって重要なプロセスに不可欠な血液の循環を可能にしている。

条件によっては、コラーゲンやラミニンが過剰につくられ、そのためには基底膜は著しく厚くなる。
糖尿病の未治療例では、特に眼や腎の細血管(毛細血管)の基底膜が厚くなる。このため血管が正常に機能しなくなり、失明や腎不全に至ることがある。

上皮を保護するバリアーの1つとして基底膜/基底板は、癌細胞が下層の結合組織に侵入する際に重要な役割をもつ。

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