傷(皮膚創傷)の治り方の解説と働き

傷(皮膚創傷)の治り方※漫画

外敵から身を守り、内部環境を保護するという防御壁である皮膚。その皮膚が破れると生命の危機!
迅速に、修復するために高等生物は修復するために高等生物は特別な工夫(自分で自分を治す)をし、なおかつ最優先課題となっています。

浅い傷の治り方

血管のない表皮では治り方の過程も深い傷ほど複雑ではありません。

  • 表皮が損傷すると基底層の細胞が基底膜との接触を断ちます。(これだけでもすごい)
    そして創傷の方に移動。反対方向から移動してきた細胞と出会うまで1枚のシートのように移動。
  • 表皮細胞が互いに出会うと、接触阻止と呼ばれる細胞反応によって移動が止まります。最終的に各層のケラチノサイトが全方向で他のケラチノサイトと接触すると、完全に移動が止まる。
  • 表皮の規定細胞が移動すると、上皮成長因子と呼ばれるホルモンが基底層の幹細胞を刺激して分裂させ、これが創傷方向へ移動した細胞と置き換わる。
  • 再配置された表皮の基底細胞は、分裂して新たな層を形成するので、新しい表皮が厚くなる。

深い傷の治り方

損傷が真皮および皮下層にまで達する時です。
複数の組織層を修復しなければなりません。つまり複雑です。
そして瘢痕組織が形成されるので、治癒すた組織は幾つかの正常な機能を失います。
炎症期、移動期、増殖期、成熟期(安定期)の4つの段階から治癒していきますが、実際はこの4つの過程がお互いにオーバーラップしながら進行していきます。

炎症期

皮膚の断裂して組織の破壊が起こり、血管も断裂して出血します。
浸出液で組織が腫れ(腫脹)、毛細管の拡張で赤くなり(発赤)、組織反応で熱が生じ(発熱)、末梢神経が刺激されて痛みを生じます(疼痛)
迅速に止血反応が起こります。

血管の攣縮
動脈の断裂の場合は血管平滑筋がすぐに収縮し、その他の止血機構が働き始めるまでの間の出血を防いでいます。
血小板血栓の形成
血小板はとても小さいのですが、驚異的な一連の化学物質を貯蔵しています。
①血小板接着〜血小板は障害を受けた血管壁の内皮細胞の下にある膠原繊維などに接着する。この過程を血小板接着といい、この接着の結果血小板は活性化され、その性質は劇的に変化します。
②血小板からの放出反応〜 血小板はたくさんの突起を伸ばし、お互いに接触し、相互作用によって血小板の小胞に含まれている内容物を放出する。
③血小板凝集〜血小板から放出されたADPは他の血小板をさらに粘着させ、お互いに血小板が粘着して集合する。こうして血小板が塊となり、血小板血栓をつくる。
血小板血栓は最初は柔らかいが、血液凝固過程で形成されるフィブリン線維によって補強されると、かなり強固となる。もし、血管壁の亀裂が大きくなければ血小板血栓だけで十分に止血できる。
血液凝固
血液凝固は複雑な酵素反応で、一定の順番でそれぞれの血液凝固因子が次の段階の血液凝固因子の分子を活性化している(血液凝固のカスケード)。最後には大量の産物(フィブリン)が形成される。
血餅がつくられる過程は血液凝固といわれ、フィブリン線維をつくる為の一連の化学反応である。もしあまりにも容易に凝固してしまうと血栓症を引き起こしてしまうし、固まりにくいと出血を起こしてしまう。
正常では血液が血管内にある限り固まることはない。血液は体外に出るとゲル状になり、時間が経つと、それから液体が分離する。この黄色の液体は血清といわれる。血清は血漿から血液凝固タンパク質が除かれたものであり、ゲル状のものは血餅 clot といわれ、フィブリんfibrin といわれる不溶性の線維によって血球成分が絡めとられたものです。
① 外因性経路と内因性経路といわれる2つの経路からプロトロンビナーゼ(活性化酵素)は形成される。
② プロトロンビナーゼが肝臓で合成される血漿タンパク質の1つであるプロトロンビンをトロンビンに変換
③ トロンビンは可溶性のフィブリノゲン(これも肝臓で合成される血漿タンパク質)を不溶性のフィブリンに変換する。
このフィンブリンがさらに血小板、赤血球等を巻き込んで血栓を作ります。同時に血管の断端も収縮します。これが止血作用です。

凝固時の血小板からは凝固因子以外にも色々な化学物質が放出されるわけですが、これらの化学物質が周囲の組織に浸透して、異変が起こったというシグナルを送ります。
このシグナルに刺激されて毛細管の壁を作っている内皮細胞の間に隙間が生じ、リンパ球、好中球と呼ばれる貪食性白血球、マクロファージになって微生物を貪食する単球が浸出液として血管から抜け出して傷口へと移動します。これを遊走といいます。
線維芽細胞になる間葉細胞も供給が促進されます。
炎症に伴う血管拡張と血管透過性の亢進により、有益な細胞の供給が促進されるのです。

一旦、血餅形成が起こると血管の破れた部位を塞ぎ出血を止める。
その血餅の退縮はフィブリン血餅が強化され固まることによって起こる。
すなわち、フィブリン線維が血管の損傷した部分に付着し収縮する為損傷部位同士が引き寄せられ、更なる出血の危険性が低くなる。
退縮が起こっている最中に血清はフィブリン線維の間から抜け出ていくが、血球成分は出て行けない。
正常の退縮は、血小板から第Ⅷ因子や他の因子が放出されて血餅を強化・安定化するので血餅に含まれている血小板数に依存する。

この状態は受傷後、4〜5日の過程です。
表皮は24時間以内に細胞がつながってしまう。外からバイキンなどが入る心配は無くなるわけです。

移動期

血液凝固塊(血餅)が痂皮となり、表皮細胞が痂皮の下に移動して創傷を埋める。
線維芽細胞がフィブリン糸に沿って移動(マクロファージの活動で放出された物質が刺激となって線維芽細胞が呼び寄せられるらしい)し、修復の主な材料である膠原線維(コラーゲン)が生み出されます。
障害を受けた血管も新しい内皮細胞が血管の内面を覆う(この指令もマクロファージから放出されるらしい)
このように線維芽細胞、毛細血管がコラーゲンを足場として、共同作業を行い、欠損部を埋め創面をくっつけていくわけです。
肉芽組織ー移動期に創傷を埋める組織は肉芽組織と言います。

増殖期

痂皮の下で表皮細胞の活発な増殖、線維芽細胞で作られた膠原線維の無秩序な沈着、血管の継続的な成長。
瘢痕組織ー肉芽組織はコラーゲン以外のいろいろな物質やコラーゲン間の架橋などで結合補強しあい、だんだんと真皮に近い丈夫な結合組織になっていきます。
この状態を瘢痕組織といいます。瘢痕組織の形成過程は、線維化と呼ばれています。
肉芽組織が瘢痕組織に変わっていくわけです。皮膚の強さが正常になるには2週間から3週間かかりますが、移動期と増殖きで1〜2週間続きます。

成熟期(安定期)

表皮が正常な厚さに回復すると痂皮が剥がれます。
膠原線維はより整然とし、線維芽細胞の活性が落ち、数は減少しコラーゲンの生成が少なくなります。(生成量と分解吸収量が同じになるということ ビタミンCの欠乏などでコラーゲン産生が低下すると、分解吸収量の方が多くなって瘢痕組織が吸収されてしまい、結果的には傷が開きます。)
血管は正常な状態に回復する。

これで元に戻った、治癒、完治したと思うでしょう。でも傷跡は残るのです。
どういうことか?
再生した表皮はほとんど傷を受ける前と同じです。
真皮は元の真皮ではありません。瘢痕組織なのです。傷跡=瘢痕です。

瘢痕組織と正常皮膚との違い

瘢痕組織では膠原線維の配列が不規則で、より密に並んでいます。
弾力性も低下しており、血管も少なく、無傷の皮膚と同様の毛、皮膚腺、感覚受容器を含む場合と含ままい場合があります。
膠原線維の配列と血管の少なさから、瘢痕組織は通常、正常皮膚より色が薄い。

肥厚性瘢痕ー深い創傷の治療で、多量の瘢痕組織形成は、隆起した瘢痕、すなわち正常な皮膚面よ りも盛り上がった瘢痕が生じます。これを皮厚性瘢痕と言います。
放っておいても半年から1年で自然に平らに白くなっていきます。余分に作られた線維組織が、傷が落ち着くとともに、だんだんと吸収されるのです。

ケロイド瘢痕

周囲の正常皮膚との境界を超えて広がる場合には、ケロイド瘢痕と言います。
肥厚性瘢痕は周りの組織を押しのけるようにして増大します。押し除けはしますが、正常な皮膚にまで波及することはない。ケロイドはたとえ強い咲くても、先目から周りの健常部へ赤く染み出していきます。無軌道に増殖を続けるのです。そしてかゆいです。
起こりやすい条件は、
有色人種に多く、化膿した傷がなりやすく、引っ張られるところや皮膚の緊張が強い(肩や首)ところがなりやすく、成長期の皮膚もなりやすく、シワに平行な傷は治りやすいが、シワを横切った傷はなりやすく釣れやすい。
原因がわかっていないので、これを治すのはかなり難しい。手術、放射線、ステロイド注射、軟膏、圧迫、内服薬などを組み合わせ治療が試みられている。

皮膚が欠損し、みきだしになった傷に対して我々の体は、表皮細胞の進展と肉芽組織の収縮という2つの手段で、迅速に傷を閉じる仕組みを持っている。

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