角質細胞間脂質の解説と働き

角質細胞間脂質horny intercellular fat 出身は層板顆粒

角質層は、ケラチンを主成分とした、既に死んだ細胞になって、扁平で不規則なうろこ状となったケラチノサイトが全質量の約90%を占めていて、残りの10%はセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸を中心としたラメラ構造を持つ細胞間脂質で構成されています。

角質層の構造

高密度でコンパクトな構造で、見方によっては、細胞間脂質の中にケラチノサイトが埋め込まれているという感じです。
よくレンガとモルタルの構造に例えられ、レンガがケラチノサイトでモルタルが細胞間脂質です。
滑らかで艶やかな肌、その見え方はこの角質層、さらに細胞間脂質の水分量と油分を調節している構造に左右されます。

角質層内の構造についてはなお数々の論争がありますが、皮膚の物理的なバリア機能(角質層のバリア)もまた、細胞間脂質の構造が担っているとされています。また、細胞間脂質の量が減れば、角質細胞がはがれやすくなり、ケラチノサイトがはがれやすくなり、カサカサとした肌表面(ドライスキン)になってしまいます。

正常な皮膚において角質層中には20−30wt%の水分が蓄えられており(これが少なくなると乾燥肌となります)、そのほとんどは角質細胞中にありますが、少量の水が細胞間脂質を作る構造(短周期ラメラ構造)の水層に滲み出しています。

細胞間脂質には水分がない…!?

オランダのライデン大学のボウストラ(BouwstraJA.)博士のX線解析を用いた実験で、長周期ラメラ構造が皮膚のバリア機能において重要な働きをしているという主張と、彼らによる「長周期ラメラ構造の周期は水分量によらない」という主張から、細胞間脂質中には水分がないと多くの研究者が信じています。
しかしながら、八田博士らの研究によって、細胞間脂質を作る短周期のラメラ構造の脂質層間に少量の水(水層)が入っていることがわかっています。(これはまだ世界で受け入れられているわけではないらしい)

皮膚病患者と健常者の細胞間脂質

細胞間脂質の組成は、皮膚病患者と健常者で異なることが報告されています。
例えば、アトピーの皮膚では、健常者の皮膚よりセラミドが著しく少ないことから、セラミド1が角質層のバリア機能に重要と考えられています。
また、魚鱗癬の皮膚は健常者に比べて遊離脂肪酸が少ないことが報告されています。

アトピーの患者と魚鱗線の患者ともに、経皮水分蒸発量(TEWL)が健常者に比べて多く、バリア機能が低下しているとの報告がなされていることから細胞間脂質の組成とバリア機能に関係があると考えられます。
また、アトピーの患者ではセラミドの炭化水素鎖の長さが短いものが顕著になることから、セラミドの炭化水素鎖長がバリア機能に重要であるという主張もされています。
さらに、部位や季節によってセラミドの組成や量が異なり、それらがTEWLと水分含有量に寄与していることが示唆されています。

皮膚病患者の細胞間脂質の炭化水素鎖の側方充填配列構造は、健常者と異なる構造分布をとることが報告されており、アトピーや魚鱗癬患者の皮膚では健常者に比べてHexの増加が見られています。また、赤外分光を用いた研究から、ORtの存在比が多いと経皮水分蒸散量が少ないという報告もなされています。

このように、バリア機能と角質層の構造とが密接に関係していると考えられていますが、一方でモデル脂質膜を用いた研究では脂質膜中の物質透過は炭化水素鎖の速報充填配列抗争よりもラメラ構造が重要であることが報告されており、詳細はまだよくわかっていません。

細胞間脂質の成り立ち

ケラチノサイトがアポトーシスを迎える前に、細胞の中に脂質を含んだ小さな顆粒ができます。
これは有棘層のケラチノサイトのゴルジ装置由来で形成され、顆粒の中に多層化した層板上構造を持っているため層板顆粒、ラメラ顆粒、オドランド小体と言われています。(名前がいくつもあるので混乱しないでください。同じものを指しています)
中には、リン脂質、スフィンゴ脂質、そしてコレステロールが詰まっています。

層板顆粒は、ケラチノサイトがアポトーシスに陥るとき、形質膜と融合しエクソサイトーシスによって細胞外に内容物を放出(分泌?)します。この中身が化学変化して、遊離脂肪酸と単体のスフィンゴ脂質(セラミド)、そしてコレスレロールという構成物になります。これが細胞間脂質です。

細胞間脂質中には重量比で、およそセラミド50%、コレステロール25%、遊離脂肪酸10%が含まれています。(モル比では1:1:1)
このほかにコレステロール硫酸約4%も含んでいます。
コレスロール硫酸は、カルシウムイオンを介して角質細胞の層構造を接着、安定化させていると言われてます。

細胞間脂質中の遊離脂肪酸の鎖長はC22と、C24のものが大部分を占めています。
炭化水素鎖の長さは、(N)及び(A)ではC24からC26、(EO)ではC30~C34が大部分を占めています。

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細胞間脂質の役割生体内外の物質の移行を防御し、角質層のバリア機能や水分保持において重要な働きを担う

バリア機能

角質層内の構造についてはなお数々の論争がありますが、皮膚のバリア機能において細胞間脂質が重要な役割を果たしていることは間違いありません。バリア機能は細胞間脂質の量と相関関係を示しています。

バリア機能と一言で言いますが、皮膚から蒸発する水分量がバリア機能に反比例するので、水分蒸散の遮断(保湿)もバリア機構と考えます。正常な皮膚においては角層中に20~30%の水分が蓄えられていますが、そのほとんどは、ケラチノサイト中にあります。

まず、セラミド、コレステロール、遊離脂肪酸の組成比が大切です。

細胞間脂質の主要な成分がセラミドなので、細胞間脂質=セラミドと考える人が多いかもしれません。
もちろんセラミドは重要な役割をしています。ただ、コレステロールも脂肪酸も身体を形成するあらゆる脂肪酸に含まれていて、生体の維持に重要な役割を担っています。
つまりこの3つがあって、そしてこの構成比(量的質的)が大事なのです。セラミドだけを重要視するのは間違いです。
理想的な細胞間脂質はセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸が1:1:1(重量比でセラミド50%、コレステロール25%、遊離脂肪酸10%~20%)の割合で混ざっていること。このバランスが崩れるとラメラ構造も乱れやすくなる、つまり細胞間脂質が乱れ、生体にとって大切なバリア機能が失われてしまうということです。
なお、細胞間脂質中の遊離脂肪酸の鎖長はC22、C24のものが大部分です。遊離脂肪酸は顆粒細胞の細胞膜から分泌されています。

次にラメラ構造という構造が関係します。角質層のバリア機能には細胞間脂質の分子配列構造が重要

細胞間脂質を電子顕微鏡で観察すると綺麗に層状に並んでいるのがわかります。疎水性部分、親水性部分同士が繰り返されるラメラ構造をしているのです。
X線回析などでこのラメラ構造は膜面に垂直方向に周期構造を取っており、長周期(約13nm 向かい合う間隔が長いもの)と短周期(6nm) の2種類であることが報告されています。
バリア機能として外的刺激に強いのは長周期のラメラ構造。13nm(長周期)周期を形成するにはセラミド1(長い脂肪酸部を持つ)が必要です。長周期ラメラ構造は全ての哺乳類の角質層で観察されています。
また、13nmの周期構造はサンドイッチモデルと呼ばれ、中期構造の中央部に長鎖セラミドの炭化水素鎖に結合している不飽和脂肪酸が位置しています。そして、この中央部は流動的になっており、物質の透過に関係していると考えられています。
6nm(短周期)周期の構造は、中性子散乱やX線回折の実験から、層間水が含まれていることが示唆されており、脂質層内で水分含有量の調節が行われていると考えられています。ラメラ構造の存在は、バリア機能を保っている状態を示します。

最後に細胞間脂質の炭素水素鎖の側方充填配列構造とも関係していると考えられてます。

皮膚のバリア機能は組成比やラメラ構造の他に、細胞間脂質の炭化水素鎖の側方充填配列構造(ラメラ周期の方向に直行する横断面では炭素水素鎖が充填してつくる構造)とも関係していると考えられています。
電子密度の高い分子軸の中心部分の炭素水素鎖の配列は六方晶、斜方晶などを取ります。

また、細胞間脂質を模倣したモデル脂質膜の研究では、セラミドとコレステロールの2成分では六方晶が顕著に見られましたが、遊離脂肪酸を加えることで斜方晶の構成が促進されることが報告されています。
遊離脂肪酸はまた、Liquid相や6nmの層周期構造の形成を促すことも示唆されています。

皮膚の表面温度は32度。温度の上昇に従って六法相の割合が増え斜方晶の割合が減ると言われています。これが角質細胞間脂質の透過性に影響を及ぼしています。メントールは透過しやすいとされています。

荒れた皮膚は、数日では回復しません。このような皮膚にセラミド、コレステロール及び脂肪酸からなる外用剤を塗布すると、経皮水分蒸散量が回復することが知られています。
これは乱れたラメラ構造が外用剤により自己組織化し、正常な構造の角層が形成されていると考えることができます。
ただ、約13nm周期のラメラ構造において重要な役割を果たすと考えたセラミド1を用いず、3を使っても、遊離脂肪酸ではなくステアリン酸を使っても角層の機能及び構造が修復しました。このようなことはなぜ起こるのでしょうか?

セラミドケラチノサイト由来の脂質はセラミドが主体、保湿とバリア機能に働く

セラミドは層板顆粒から放出されています。トリグリセリドは不溶性ですが、セラミドは可溶性です。
詳しく言えば、細胞間脂質のセラミドは、層板顆粒に蓄積されているグリコシルセラミドやアシルグルコシルセラミドからβセレブロシダーゼにより、スフィンゴミエリンからスフィンゴミエリナーゼにより生成され、またセラミダーゼによりスフィンゴシンに分解されます。

角層セラミドの70%はグルコソドセラミドから生成されると言われています。
セラミドは、哺乳類の他の組織においてはコレステロールやリン脂質に比べマイナーな成分(角層におけるセラミドの含有量は肝臓、腎臓、脳の30倍です)腎臓の50倍ですが、角質層では細胞間脂質中の構成成分の重量比およそ50%と主要な成分です。
長鎖アミノアルコールを骨格として持つスフィンゴ塩基のアミノ基と、遊離脂肪酸のカルボキシル基がアミド結合してできており、2本の極性飽和炭化水素さと小さな極性部から構成されています。

人の細胞間脂質では現在12種類のセラミドが特定されています。セラミドの分解産物であるスフィンゴシンは抗菌ペプチドとしての役割もあります。

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