化粧品へのナノ化の応用いろいろ
ナノ化技術は、化粧品にも様々な形で応用されてきています。
- 美容液
- 美容成分をごく微小にすることで、細胞と細胞の間にある隙間をすり抜けさせ、皮膚の奥まで浸透しやすくしています。
本来ならば皮膚のバリア機能がブロックするべき物質が、皮膚の奥まで届いてしまいます。 - 日焼け止め
- 二酸化チタンなどの無機物をナノ化することにより、光の反射を抑え、今まで混合できなかった材料が混ぜられるようになりました。
このような材料を使った日焼け止めのうたい文句を紹介すると「ナノサイズのUVカット紛体を使用し、肌への伸びもよく細かなきキメにもしなやかにフィット。
密着性良く、汗にも皮脂にも崩れにくい薄い透明ヴェールで、紫外線を強力にカットし続ける」とあります。
ナノサイズの紛体が、身体のどこまで浸透しているのかが懸念されます。 - クレンジングオイル
- 「ナノテクだから、こすらないでもするんと落ちる」と宣伝しているクレンジングがあります。
ナノ粒子を使った化粧品ではありませんが、水で洗い流すとき、一瞬でオイルをナノサイズまでに分散させて流しやすくし、また、ぬれた手で触っても、水をナノサイズにしてオイルの中に閉じ込めるので、クレンジング力が低下しないそうです。
ナノサイズになった汚れが皮膚から浸透しないという保証はありません。 - メーキャップ化粧品
- 例えば、キシキシしやすい酸化チタンとシリコンをナノレベルで均一化して肌なじみを良くしたり、雲母に酸化亜鉛を付着させて透明感や自然なつやをだすことができるようになっています。これらの商品はとくにナノ材料を使っていると明記しているわけではないので、知らないうちにナノ化粧品を使っていることも考えられます。
ナノ化成分がなぜ危ない?
皮膚の細胞と細胞の隙間は40~250ナノメートルとされていますから、小型ウィルスほどの大きさのナノ物質は簡単に皮膚細胞の隙間から内部に入り込むことが考えられます。
入り込んだごく微小の物質が体の内部でどのような挙動を示すのか、まだよくわかっていません。しかし近年、動物実験でナノ材料の安全性が疑われる結果が相次いで報告されています。
例えば、カーボンナノチューブにより中皮腫の発生が認められました。また、ナノ化した二酸化チタンやシリカを、妊娠しているマウスに注射すると、粒子が胎盤や胎児の脳に移行することがわかりました。そして胎児の体重や体長が正常なものよりも1割ほど小さく、流産も増えたとの実験結果が出ています。
人では実験に使われたような大量のナノ材料を摂取することはありえないと思われますが、生活の中でどの程度ナノ材料に暴露されているのかを知ることは難しく、今後はリスクの調査や、安全な材料の開発が重要となります。