太陽の光は生きるために必要
太陽の光は、生き物に明るさと光をもたらし、植物では光合成を、ヒトではビタミンDを活性化するなど、生きていく上でなくてはならないものです。
シミやしわの元になるなどの作用があるため、太陽の光は美容の大敵のように思われていますが、
日光に当たることは生きるために必要なことなのです。
一方で、太陽光には殺菌作用があります。これは紫外線が細菌の遺伝子に傷をつけることによるものです。
同じようにヒトの細胞においても遺伝子に傷をつけるため、それが積み重なるとやがては皮膚がんになります。
他にも日焼けに始まり、水ぶくれを起こすなど、肌に様々な害を起こすことも知られています。
紫外線の皮膚への作用
紫外線は、角層のケラチンでその5％～10％が反射され、角化細胞内のケラトヒアリン顆粒やメラニン色素で散乱、吸収された後、
核に吸収され、ごく一部のみが真皮に到達します。真皮に到達した紫外線は、次のような働きをします。
- ビタミンDの生成
- 紫外線により表皮細胞の中で7－デヒドロコレステロールが光分解されてビタミンDの元になるプレビタミンD3になります。これが肝臓と腎臓で水酸化されて活性型ビタミンD3になります。なお、紫外線に過剰にあたってもビタミンD3は分解が進むので、体内の量が多くなりすぎることはありません。
- DNAの損傷
- 紫外線が皮膚に当たると細胞内のDNAを直接壊したり、光のエネルギーが他の分子に吸収されてそのエネルギーがDNAに障害を与えたりしますが、生き物は常に太陽光にさらされているため、そのようなDNAの損傷を修復する機能がそなわっています。
- 日焼け
- 紫外線により、メラニンを作り出す色素細胞の数が増え、その中にあるメラノソームでのメラニンの合成が亢進し、色素細胞から角化細胞へメラノソームが輸送されます。これがサンタン、すなわち日焼けで色が黒くなるメカニズムです。これは真皮に到達する紫外線を減らすための生体防御反応です。
また、日に当たりすぎると、活性酸素による細胞膜の損傷が引き金となり、皮膚は炎症を起こしたり、細胞が死んでしまったりします。
死んでしまった細胞はサンバーン細胞と呼ばれますが、これは紫外線による細胞の損傷がひどくて、修復できないため、傷ついたDNAを持ったままの細胞を排除しようとする生体の働きです。この反応は日に当たってから4時間以内に始まり、数日で終わりを迎えます。
さらにメラニンの合成は、様々な液性因子（たとえばプロスタグランジンE2など）によっても亢進するため、遅発性のサンタンが10時間後ぐらいから始まり、４～１０日でピークを迎え、長いときは数ヶ月も続きます。 - 光老化
- 過度の日焼けを繰り返すことにより、部分的にメラニンが増えてしみになります。
また、真皮の形を保ち、張りを与える繊維成分が変性し、しわやたるみの原因になります。
長年、海や農地で太陽光にさらされていると色が黒く、しわの深い皮膚になることが知られていますが、これは角化細胞、色素細胞がともに増殖し、角質増生、表皮肥厚、色素沈着を繰り返した結果です。このような現象をこれを光老化と言います。
通常の老化による皮膚では、表皮が萎縮し、細かいしわができ、弾性繊維が減少しますが、光老化では表皮が肥厚し、深いしわができ、弾性繊維は増加しています。
ドクターズオーガニックが考える紫外線対策
それでは、紫外線防止化粧品についてお話ししましょう。
これには紫外線を防止するために紫外線吸収剤を使用したものと紫外線散乱剤を使用したものの２種類がありますが、
紫外線吸収剤は皮膚にダメージを与えることがあるため、ドクターズオーガニックでは使用しておりません。
また、適量の紫外線を浴びることは生物にとても大切であり、さらに紫外線にあたることによって、皮膚は自らを紫外線から守る機能を発揮できるようになります。紫外線を遮断していると、皮膚は紫外線に対する抵抗力ができていないので、突然強い光に当たった時のダメージが大きく、シミなどができやすくなります。
化粧水でお肌を整えた後に下地として美容オイルをつけ、おしろいやファンデーションをぬったり、
つばの長さが7～8ｃｍほどある帽子や日傘で直射日光を避け、日陰程度の紫外線を少しは浴びておくというのが一番健全な方法です。
※ＵＶ対応でなくてもファンデーションには紫外線を防ぐ効果がありますので、屋内にいるのなら、軽くパウダーファンデーションをつけるだけの方が、シミになりにくいのです。
どうしても日に当たるときは、UVケア製品をお使いになることが有効ですが、特に紫外線吸収剤を配合したものを毎日使用することは決しておすすめできません。紫外線の害よりも、吸収剤による皮膚障害の方が、お肌にとってよくないからです。
本当に必要なときのみに限って使用することにし、製品を選ぶときはできればノンケミカルと表示のある、紫外線吸収剤を使っていないものにしましょう。
