爪nails/爪は成長する
爪は角化性の上皮組織です。死んで角化した表皮細胞が、密に集積した硬い板で、表皮角質層や毛の角化と類似した過程を経て形成されます。
爪の機能
- ・指趾先端の保護
- ・指先の微妙な感覚などに重要
- ・硬い支持組織となる
爪の発生
胎生3ヶ月頃に表皮から分化する
爪の成長
爪母基の表層細胞が爪の細胞に変化することによって、爪は伸びます。
その成長速度は1日に約0.1~0.15mmで一週間で0.5~1mm。
爪の成長速度は爪母基の分裂速度によって決まり、年齢、健康状態、栄養状態によって変動するのです。
高齢者の爪は伸びが遅くなり、肥厚して褐色調を呈します。
一般に指の爪の方が足の指より早く伸び(手指の爪は3mm/月、足指の爪は1mm/月の速さで伸びる)、冬期より夏期のうほうが早く伸びます。
爪体(爪甲・爪板)全体の再生には6ヶ月~12ヶ月を要します。
爪の成分
爪のケラチンは表皮ケラチン(軟ケラチン)に比べて硫黄の含有量が大きく、「硬ケラチン(hard keratin:固く柔軟性がある)」と言われます。
硬ケラチンは表皮の軟ケラチンと違って剥離しません。
角化細胞の層板の間に空気(気泡)が含まれることがあります(爪の星)。
以前は、表皮の角層が特殊に分化したものが爪であると考えられていましたが、近年はケラチン分子の解析により表皮と毛の両方の性状を併せ持つ組織と考えられてます。
爪の構造
- ・遊離縁(自由縁・爪甲遊離縁)
- 爪体の一部。要するに伸びた爪。遊離縁は下を走る毛細血管がないので白い。
- ・爪体(爪板・爪甲)nail body(plate)
- 爪として見えている部分。爪の主体。表皮の角質層にあたります(爪角質層)。
爪体の大部分は、爪体の下の爪床と呼ばれる上皮組織も薄いので、爪の下の真皮の毛細血管を流れる血液のためピンクに見えます(元々はほとんど透明に近い)。
言うなれば血液中の酸素量を推し量る上で便利な窓です。
爪体の根元には乳白色の爪半月が見られますが、この部分の角化が不十分であることによります。
また、この部分の上皮が熱くなっているために下にある血管が透けて見えず、白っぽく見えます。 - ・爪根 nail root
- 皮膚のひだに埋まっている部分。この皮膚のひだは薄く、毛と分泌線を欠く。
- ・爪床 nail bed
- 爪の深側にある皮膚。爪床は表皮と同様の組織ですが、基底層と有棘層のみで顆粒層を欠いています。爪体と密着しています。爪を指先に固定しているわけです。
- ・上爪皮(小皮・爪上皮)eponychium・cuticle
- 爪の縁に付着する狭い帯状に伸びた表皮角質層
- ・下爪皮 hyponychium
- 爪の遊離縁の下面部分。表皮の厚い角質層で覆われている。
- ・爪母基 nail matrix
- 爪の基部で皮膚の中に埋まる分、すなわち爪根では、爪は胚芽層(基底層と有棘層)は厚く顆粒層を持ち、基底層には細胞分裂が見られる。
爪の新生・成長が起こるところで爪母基と言います。爪母基は増殖、分化能を持つケラチノサイトの集まりです。
基底層で分裂増殖した細胞は表側に向かうとともに扁平化し角質化して爪(角質層)を作るのです。
爪は爪母基から産生し爪根から伸びます。爪根は爪として成熟し、爪母基における絶え間ない成長によって爪床の上を前方へと押し出されます。