皮膚のpHstratum granulosum/granular cell layer
角質細胞は、水(H2O)を蓄え、外界からの乾燥ストレスから肌を守っているわけですが、
その保水機能は、細胞内にある天然保湿因子(NMF)と呼ばれるスポンジの様な物質が担っており、これはフィラグリンというタンパク質に由来します。
また角質細胞は脂肪の薄い膜で覆われています。(lipid lamellae・周辺帯)
天然保湿因子は、顆粒層にあるケラトヒアリン顆粒の主要な構成成分である、プロフィラグリンが切断され、フィラグリン分子になり、ケラチン線維間を充填してケラチンを凝集し、さらに角質層においてアミノ酸に分解されたものです。
このアミノ酸(天然保湿因子)が角質層の中で安定して留まることができる肌のpH値は弱酸性です。
そして同時に周囲のpHを下げる作用があります。
ところが、敏感肌・乾燥肌の方は肌がアルカリ側に傾きがちなのです。
コルネオデスモソームを分解し、角質層剥離に関与しているKLK-7などのプロテアーゼは中性でよく働き、インヒビター(阻害剤・阻害物質)は中性では機能が落ちるので、中性下ではデスモソームは破壊されやすくなります。
角質層で角質層剥離に関与している細胞を取り巻く脂肪層の構成成分の産生も、中性下では落ちます。
皮膚の最外層である角質層は、このようにpHによって支配される微妙なバランスのもとに機能しています。
体表からの深さに応じてpH勾配を形成することで、角質細胞の分化にも関わっています。
「健康な皮膚は酸性のマントを羽織っている(The acid mantle)」と言われる所以です。
肌表面が弱酸性だと、常在菌のバランスも整います。