ダマスクローズウォーター
ブルガリアの「バラの谷」として有名なカザンラクでは、5月中旬からバラが咲き始め、およそ20日から25日間バラの季節が続きます。
その時期、カザンラクでは、摘みごろである開き始めの花を選んで手早く手折り、銅やステンレス製の釜に花びらと水を加え、
直火にかけたり水蒸気を加えたりしてバラの花の蒸留が行われます。
そうして得られるのがダマスクローズのエッセンシャルオイル(精油)。その際、同時に香りのよい液体が得られますが、これがダマスクローズウォーターです。ダマスクローズウォーターは、化粧品や医薬品として、はるか昔から愛されてきました。
ダマスクローズウォーターの成分と安全性
主成分はフェネチルアルコール。これがおよそ3/4を占め、他にシトロネロール、ゲラニオール、リナロールなどの成分が続きます。
これらはいずれもバラの香りの源ですが、主成分のフェネチルアルコールは水に溶けやすい性質のため、エッセンシャルオイルにはあまり含まれず、ローズウォーターに集まることになります。(※ただし、水ではなく溶媒で抽出されたエッセンシャルオイルの場合はフェネチルアルコールが主成分となります。)
その安全性に関して、エッセンシャルオイルやローズウォーターには
長年の使用実績から安全性は高く、大きな問題は見受けられません。
主成分のフェネチルアルコールに関しても、
FEMA(食品香料などの安全性評価を行っているアメリカの団体)から
安全な食品添加物であると認定されています(2005年)。
- フェネチルアルコール
- カフェインで興奮したマウスの行動を抑制するが、正常なものの行動は変化させない。(Buchbauerほか 1992)
マウスの闘争作用を弱める抗不安作用がある(Umezuほか 2002) - シトロネロール
- γ―アミノ酪酸GABAの神経伝達物質受容体に対して、GABAの結合を促進し、
抗不安、鎮静、鎮痙作用があると推定される。(Aosima, Hamamoto, 1999)
マウス誘発けいれん発作を内服により80%抑制し、6.4nmolで神経活動を90%抑制した。(Souta 他 2006)
吸入、マッサージ内服いずれにも血圧降下作用がある。(川端他 1999)
好中球の活性化を抑制するので、抗炎症作用が期待される。(Abe他2003)
抗菌作用がある。(Megalla 他 1980)(Zakarya他 1993)
抗真菌作用がある。(Kurita 他 1981)(Chaumont, Bardey 1989)(Mahmoud. 1994)
雑草の根の伸長を阻害する。 - ゲラニオール
- 強い抗菌活性がある。(Megalla, 他1980)(Kurita, 他1981)(Hinou,他1989)(Chinou, 他 1996)(Pattnaiks, 他 1997)
鎮痙作用がある。(Lis-Balchin, 他1997)
強い鎮痛効果がある。(川端ら、1999)
グルタチオンーS-トランスフェラーゼの活性を高め解毒を促進する。 - リナロール
- 鎮痛効果がある(論文多数)
抗不安作用がある。(Umezu、他 2006)
副交感神経を優位にして鎮静効果をもたらす。(Kuroda、他 2005)
白色と褐色細胞の分解を止めてエネルギー燃焼を抑える。胃の迷走神経を刺激して食欲を増す。(Chen, 他 2005)(Tanida, 他 2006)
抗炎症効果がある。ラットカラゲニン浮腫を抑制し(Peana,他 2002)、 エタノール誘発胃潰瘍モデルにも有効だが、
インドメタシン誘発胃潰瘍には無効である(Barocelli,他 2004)ことから、 アラキドン酸代謝には関与しない抗炎症効果であると推測されます。
中程度の殺虫作用がある(Perruccis, 他 1996)(Laurent, 他 1997) シラミに有効(Gauthier, 他 1989)
アデノウィルスⅡ型に有効(Chiang, 他 2005)
ブルガリアのバラは「世界で最も薫り高い」と言われています。
ドクターズオーガニックでは、ブルガリア産のダマスクローズウォーターを使用しています。
それは、ブルガリアのバラが「世界で最も薫り高い」と言われているためでもあります。
ダマスクローズはブルガリア以外でも、
トルコ、モロッコ、イランまたインドなどでも盛んに栽培され、それらの地域で作られたエッセンシャルオイルやローズウォーターも沢山出回っています。
ブルガリアのバラは、その他の地域のバラと何が違うのでしょう?
ブルガリアがその他の地域と違うのは主に5~6月にかけての湿度や日照時間、降水量です。
日本では北海道と同緯度にあたるブルガリアのバラの谷(カザンラク)では、
5~6月という丁度バラの収穫時期にあたるこの期間、
年間降水量がピークとなり、日照時間が減って多湿になります。丁度開花のタイミングで日光を浴びないブルガリアのバラは精油成分の蒸発が抑えられるため、
その花に精油成分を豊富に含有しています。
イランや他の地域のバラは、
開花時期に強力な紫外線から身を守るため、
花びらの表面に天然のワックスを分泌して身を守ります。
このワックスにはあまり香り成分が含まれていないため、
花が身を守るためにワックスを厚くすればするほど、
全体としての香り成分が減ってしまいます。
日照時間が少ないブルガリアのローズは
ワックスを厚くして、紫外線から身を守る必要が薄いため、
結果として香り成分を多く含むことができるのです。
以上からブルガリアンローズは世界的にも薫り高いローズであると言われているのです。
ブルガリアではローズウォーターに国家基準が定められています。
外観 | 透明な液体 |
色 | 無色 |
香り | ローズの香り |
精油含有量 | 0.025%以上 |
エチルアルコール含有量 | 0~4.0% |
pH | 4.0~7.5 |
重金属・微生物 | 基準値以下 |
ドクターズオーガニックの化粧品に使用されているダマスクローズウォーターは、ブルガリア政府指定のバラ・アロマ・医療植物専門の研究所(ローズオットーにおいて世界の最高峰)で検査を受け、その品質をブルガリア政府から認証されています。
更に日本に到着してからも、薬剤師の厳しい目でチェックをしています。
人体に有害なものが含まれていないかを含め、成分の内容や不純物・混入物をチェックし、
精油の含量(香りの高さに関係しています)、
残留農薬の有無(オーガニックかどうか)を確認しています。