周辺帯の解説と働き

周辺帯辺縁帯・角質細胞膜・角化肥厚膜/cornified cell envelope:CE/コーニファイドセル・エンベロープ

周辺帯とは、角化細胞の最終分化の過程で形成される、不溶性できわめて強靭な構造物です。
様々な物理的、科学的障害から生体を守り、生体からの水分の過剰な喪失を防ぐバリアともなっています。
この膜が未熟であると、皮膚のバリア機能が低下することがわかっています。

周辺帯は主に、
有棘細胞でつくられるタンパク質(インボルクリン)や、顆粒細胞でつくられるタンパク質(ロリクリン)で構成され、
これらのタンパクが角化の際にトランスグルタミナーゼ transgltaminase などの酵素によって触媒される(リジン残基とグルタミン残基との間にイソペプチド結合が形成される)ことで生じます。(周辺帯のタンパク質成分1%以下ではありますがフィラグリンのごく一部がトランスグルタミナーゼによって他のタンパク質に架橋され、細胞膜上で辺縁帯の一部になります)

このように細胞膜を内側から裏打ちする強靭な構造となり、親水性の角化細胞とその角質細胞を囲む脂溶性の非極性脂質の間の境界となります。
周辺帯、角質細胞膜、角化肥厚膜と言ったりもします。

さらに周辺帯の外側の分子(インボルクリンなど)にはセラミドなどの特殊な資質がエステル結合しています。
まず有棘層で周辺帯に関連するタンパク質の転写の開始が行われます。
この一連の遺伝子発現や酵素反応はCa2+の濃度上昇(細胞死に伴うカルシウムイオンの細胞内への流入で活性化)で促進されます。

周辺帯とはcornified Sell envelope:CE〜ただの細胞膜ではダメだ!もっと丈夫で安定性のあるなものを!(物理ーにに的、化学的障害から生体を守る)

角質層には通常よりも厚い細胞膜が存在し、さらにその内側には周辺帯と呼ばれる極めて強靭で巨大な厚さ15~20nmで不溶性タンパクの膜が形成され、コルネオデスモソーム(細胞の接着斑)のアタッチメントプラークと連続して細胞膜の内側を囲んでいます(角質細胞を包む袋状の構造)。
細胞膜の内側において形成される架橋されたタンパク質分子からなる10nmの厚さの部分と、
層板顆粒由来のセラミドが細胞膜を置換した5nmの厚さの脂質エンベロープ部分からなっています。

形成は3ステップ

開始段階

有棘層上層で周辺帯に関連するタンパク質の転写が開始されます。
この遺伝子発現や酵素反応は、細胞内のカルシウム濃度上昇で促進されます。
エンボプラキン、ペリプラキン、インボルクリンが発現します。
エンボプラキンとペリプラキンは安定したヘテロダイマーを形成します。これとインボルクリンが細胞膜上で結合します。
同時にトランスグルタミナーゼ1が発現し、細胞膜上に結合します。
細胞内のカルシウム濃度のさらなる上昇によってトランスグルタミナーゼ1はプラキン類のヘテロダイマーとインボルクリンを架橋します。
同じ酵素が細胞膜に結合している他のタンパクやデスモゾームのタンパクも架橋し、細胞膜内面全体を内張りするタンパク分子の架橋したものからなる1分子の厚さの層(薄い層)が形成されます。

脂質エンベロープの形成

顆粒層での層板顆粒からの分泌が行われます。
分泌物の1つグルコシルセラミドはβグルコセレブロシダーゼの作用でセラミドに分解され、本来の細胞膜のリン脂質がセラミドに置換されます。
これと1で架橋されたタンパク分子、主にインボルクリンが、トランスグルタミナーゼ1の働きによって架橋されます。

補強

顆粒層上層部ではロリクリンが発現します。
細胞質内のトランスグルタミナーゼ3がロリクリンとSPRs(small praline-rich proteins スモールプロリンリッチプロテイン)分子を架橋し、ホモダイマー、ヘテロダイマーを形成し、有棘層でできた架橋構造を補強します。
そして2のセラミドとトランスグルタミナーゼ1で架橋することで周辺帯は完成し、角質層で成熟します。
成熟した周辺帯は非常に堅固な構造をとるとともに、脂質修飾により疎水性を獲得し、細胞間脂質が整然と密に配向するための土台(ラメラ構造の土台)を提供していると考えられてます。 物理的化学的刺激に対して非常に安定であり、通常より厚い細胞膜を、さらに補強する役目をはたしています。

短く言うと不溶化したタンパク質膜とそのタンパク成分に細胞外側からエステル結合した一層のセラミドからなる、ということです。周辺帯の外側がに近いところは、主としてインボルクリンが占めると推察されています。
これにセラミドの疎水性部分の先端すなわちωハイドロがエステル結合しています。

このように多数の分子が周辺帯を構成していることは、このうちのいずれかの分子が欠損した場合でも、他の分子がその機能を補完して、重篤な疾患に至りません。インボルクリンや周辺帯質量の70%をも占める主成分であるロリクリンといった主要な成分の完全欠損動物に大きな障害は見られていないのです。

トランスグルタミナーゼ trannsgltaminase(TGase) 表皮ケラチノサイトの分化に伴って産生される。人では6つのトランスグルタミナーゼファミリーメンバーが知られており、そのうち辺縁帯の形成に最も重要な働きをしているのはトランスグルタミナーゼ1(顆粒層で発現)です。細胞膜に結合すると高い活性を表し、細胞質内で可溶性の時は活性が弱い。角層細胞膜周辺に強固な周辺帯を形成するために必須の酵素です。

角質細胞の表面は、コーニファイドエンベロープと呼ばれるインボルクリンヤロリクリンなどのたんぱく質からなる堅固な膜に覆われている。
その最外部にωーヒドロキシセラミドが結合し、それが土台となりそう構造を持つ細胞間脂質が形成される。細胞間脂質は層間水の存在が示唆されています

角化細胞はケラチンフィラメントで満たされ、密にクロスリンク結合したタンパク質層である細胞表層に包まれる。
脂質エンベロープは、密に充填された細胞表層で化学的に結合している。
この脂質単分子層は、親水性の角化細胞とその角質細胞を囲む脂溶性の非極性脂質の間の境界となる角化細胞は、角質層の結合のため重要なコルネオデスモリーム(細胞の接着斑)により相互結合している。
脂質の組成と、最終的な分化の間の細胞構造の変化が角質層の密に充填された構造を生む。
角化膜の不浸透性は角質細胞間の直接的な物質輸送浸透を助ける。

波状魚鱗せん

先天的にトランスグルタミナーゼ欠損あるいは機能不全。破綻したバリア機能を補うために角層が肥厚して水分喪失を防ごうと働く為です。

インボルクリン

酸性、可溶性、ロッド状の、グルタミン/グルタミン酸に富む585個のアミノ酸からなる68kDaの蛋白。インボルクリンはすべての重層扁平上皮で発現しています。正常表皮では有棘層上層から発現、初期に辺縁帯に架橋され、その後に他の成分が組み込まれます。インボルクリン分子は、離れた分子同士を架橋するのに適した細長い形をしています。

ロリクリン

表皮の辺縁帯のの主成分で、その70%を占めます。ロリクリンはグリシン、セリン、システインに富む、不溶性の塩基性蛋白で、表皮の顆粒層上層で発現する。
人では26kDa、315個のアミノ酸からなる。グリシンが並んでループ状に飛び出すグリシンループ構造を持つ。

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