タイトジャンクション解説と働き

タイトジャンクションタイト結合/密着結合/密着帯/閉鎖帯/tight junctions/occluding junction

タイトジャンクションとは?

タイトジャンクションは細胞の最も頂端部側にある細胞間結合で、その存在は1963年に報告されました。

アドヘレンスジャンクション(接着結合)(図1②)やデスモソーム(図1③)がマジックテープのように機械的な接着を担っているのに対して、
ジップロックのように細胞膜間を密着させて細胞と細胞のすき間を狭め、物質の通過を制限するバリアとして機能するとともに、イオン透過などを制御する場合があるのが、タイトジャンクション(図1①)です。

タイトジャンクションの構造

タイトジャンクションは、極性を持つ細胞を、完全に丸く取り囲むベルト状(ひも状・細い帯)に網目をなして存在しています(図2・図3)。そして隣接する細胞にある同様の細い帯と接触しています(図3)。

タイトジャンクションの構造

隣り合った細胞同士の細胞膜の脂質二重層の外葉同士を、膜内タンパク質(クローディンオクルディン)によって密着させることにより、隙間を防ぐとともに、連続的に細胞をつなぎとめる細胞間接着構造体なのです。

非常に高倍率で見ると、直径3~4nmのタンパク質粒子の列(クローディン)が、タイトジャンクションの凍結割断法による顕微鏡写真に見られた隆起を形成しています。

タイトジャンクションは、これらの粒子の2つの列によって形成されており、1つの列は1つの細胞に由来します。
この構造はタイトジャンクションストランドと呼ばれています。

透過型電子顕微鏡で観察すると、隣接する細胞の側方面は、所々でお互いに接触しているように見え、隣り合う細胞膜が強く融合しているようにすら見えます。

細胞の極性cell polarity

細胞の形

高校教科書的な細胞のイメージだと、上下左右に対称だったり、360度同じランダムな形だったりと、細胞にはあまり方向性がない印象を受けるかもしれません。細胞は結局のところは脂質二重膜で外界と隔たれた構造体ですから、等張液の中では完全な球体となるはずですが、実際はそうではありません。

神経細胞や上皮細胞等、あるいは微生物細胞まで、すべての細胞は、不均等分裂して分化したり、形を変えたり、また、運動したりする際に非常に重要な役割を果たす「方向性」を持っています。この方向性を「細胞の極性」と呼びます。
細胞膜や細胞内の成分は、細胞内に均一に分布しているわけではなく、ある偏りを持って存在しており、これらによって極性が生じるのです。

極性は細胞の空間的な制御において重要な役割を持ちます。
例えば上皮細胞やニューロンなどは厳密な極性を持っており、これは細胞が正常に働くために必須の性質です。
上皮細胞やニューロンの極性は、その上皮組織や神経系の機能発揮の基盤となっています。

細胞極性は、多細胞生物の体を構成する細胞の日常活動の基盤であるということができます。
したがって、その異常は多細胞生物の様々な機能に大きな影響を与えることが容易に推察できます。

細胞極性の遺伝子レベルの解析は、1990年代からの線虫とショウジョウバエの非対称細胞分裂の変異体の解析に端を発しています。
上皮細胞は、組織の内と外とを隔てる最も大切な細胞であると同時に、発生過程における組織構築に際して死活的に大切な役割を果たしている細胞です。同時に、極性化した細胞の典型例でもあります。
細胞極性を考える際に、最も大切な概念が提示されてきました。
それは、上皮細胞が極性を有するためには、細胞と細胞の接着と細胞と基質の接着が必要であるというものです。

上皮細胞は体の中で境界面を作っているので、上皮細胞の細胞表面は、その境界のどちら側に面している表面かによって、役割が違い、形や構成している物質などが異なっています。
例えば、腸の内側の粘膜の上皮細胞は、腸の内側(=内腔)に面する側にだけ長い微絨毛がびっしり生えているし、唾液腺の細胞は導管につながる内側の側にだけ、唾液を分泌するようになっています。
上皮組織の細胞同士はタイトジャンクションと呼ばれる構造で結合しており、表側と裏側の細胞膜は性質が異なっています。

タイトジャンクションはどこにある?

皮膚(主にクローディン1)、胃(主にクローディン18)、腸(主にクローディン7)、膀胱粘膜の上皮組織を構成する上皮細胞は、多数のタイトジャンクションを持っています。血液脳関門(主にクローディン5)や血液精巣関門でも体腔を密封する障壁を形成します。

タイトジャンクションはどこにある?

隣接する上皮細胞間のタイトジャンクションは、通常、頂端面の少し下側で細胞を取り囲むように位置しています。

顆粒層の細胞を表面から順にSG1, SG2, SG3細胞とそれぞれ名付けると、SG2細胞の細胞間にのみタイトジャンクションが存在し、細胞間を通る物質移動を制限するタイトジャンクションバリアを形成しています。

タイトジャンクションはどこにある?

角質層の内側にある重曹扁平上皮細胞の外側から数えて2層目(顆粒層)の細胞の細胞間をタイトジャンクションがシールしています。現在、表皮においてタイトジャンクションは顆粒層に存在するという考え方が一般的です。
しかし、少なくとも下から7、8層目までの角質細胞の辺縁にタイトジャンクション様構造が存在しています。
形態的には顆粒層のタイトジャンクションとは異なって、タイトジャンクションに特徴的なkissing pointsが見られず、隙間なく接着した隣接する細胞の平滑な膜であり、辺縁体と連続しています。
角質層においても細胞間の物質の透過性を整序するタイトジャンクションが存在し、細胞辺縁部分のコルネオデスモソームを分解から守り、それより中央寄りの部分のコルネオデスモゾームを選択的に分解させ、細胞間脂質のシート状のバリアの形成を可能にしているのではないか、と言われています。

タイトジャンクションの機能役目はなあに?

細胞の極性確立維持

細胞の極性確立維持
上皮細胞やニューロンなどは、厳密な極性(polarity/方向性)を持っています。
細胞同士がタイトジャンクションで結合する(区分する・シールする)ことで、細胞を機能的に頂端側と基底部の2つに区分することにより、極性を確立し、維持しているのです。
タイトジャンクションによって、膜タンパク質や糖脂質が、頂端領域と基底領域の間で移動するのを防ぎます。
細胞膜の2つ領域が別々の細胞膜構成成分を含むようにしていて、これにより両部位に機能的に異なる受容体を配置させることができるのです。
細胞間隙
またタイトジャンクションは、表皮細胞間隙の液体や物質の流通を制御し、消化液など分泌された液体が管腔内から漏れて間質に流通しないように細胞間隙バリアを形成しています。
ひも状構造の数、あるいは融合部位の数は、上皮の密閉性と強く相関します。
上皮に融合部位が一ヶ所ないしごくわずかしかない場合(例えば腎の近位尿細管)では、数多くの融合部位を持つ上皮(例えば膀胱)に比べて、水や水溶性分子の透過性が高く、すなわち、タイトジャンクションの主要な機能は、上皮細胞の間隙を双方向に物質が通過する(傍細胞経路と呼ばれる)のを防ぐシールを作ることです。

タイトジャンクションの機能まとめ

  • 上皮細胞を機械的につなぎバリアを形成
  • 細胞間隙の透過制御による恒常性(栄養吸収やイオン環境保持などの生体機能)の制御
  • 情報伝達制御

「タイトジャンクション」という名前

タイトとは固くとざすという意味で、ジャンクションは交通情報でおなじみの合流点を意味します。
また、接合や接するという意味にも使われます。

タイトジャンクション構成たんぱく質主要な膜内在性タンパク質2つ。クローディンとオクルディンです。

クローディンclaudin/タイトジャンクションの中心となっている分子。発見者は日本人です。

4回膜貫通タンパク質

タイトジャンクションにおいて膜をシールする成分は、まず膜貫通タンパク質のクローディン同士の相互作用が挙げられます。
クローディンは少なくとも27種類のメンバー(表皮タイトジャンクションを構成する主なクローディン分子はクローディンの1、4、15、23です。)により多遺伝子ファミリーを構成する、分子量23kDの小さな4回膜貫通タンパク質です。

タイトジャンクションストランド

クローディン同士は、タイトジャンクションにおいて同一膜内で線状に重合するとともに、隣接する細胞間で接着するというユニークな機能により、タイトジャンクションストランドを形成します。

クローディンがタイトジャンクションストランドを形成する基本的な細胞間バリア構築タンパク質であることは、種々の事象によりほぼ確実です。

シグナル伝達を制御する拠点
細胞間の接着部位に集積する接着分子クローディンはタイトジャンクションを構成しますが、
一方で細胞内の骨格構造やシグナル伝達を整序する拠点として機能します。
つまり、限られた種類のクローディンが細胞間の物質透過性を担う細胞間チャネルとして働くということです。(細胞間バリアを基盤とした細胞間の選択的物質透過性を担う)
臓器部位特異的な上皮細胞シート透過性
ヒトやマウスが有する27種類のクローディンサブタイプの、臓器依存的な上皮細胞での発現パターンの違い(その距離や形状・電荷的環境)が、臓器部位特異的な上皮細胞シート透過性の特性決定の鍵を握ります。
異なるタイトジャンクションに存在するクローディン分子の種類が異なると、性質が変化して様々な上皮組織間で、イオン、小分子、水に対するタイトジャンクションの透過性が劇的に変わるのです。またその通り道も推測されます。
クローディン15は表面が負に帯電しておりナトリウムイオンのような正のイオンを透過させますし、クローディン10aでは、表面が正に帯電しており、塩素イオンのような負のイオンを透過させます。

2014年のクローディンの構造解析(世界初)により、クローディンが細胞外に掌を向けたような構造を形成しており、その掌が負電荷の表面を形成することで、正のイオンを選択的に透過し得ることが理解されました。
さらにこの分子が脂質膜中で数珠つなぎに並んだ構造を形成することが明らかとなり、細胞間隙を通る(パラセルラーの)イオンなどの透過経路も予想されました。(名古屋大学、大阪大学、東京大学の共同研究グループ)

クローディンの構造解析

2014年、2015年名古屋大学の藤吉教授、大阪大学の月田教授、東京大学の澪木教授らの共同研究グループによって、マウス由来のクローディンタンパク質のひとつであるクローディン15を、特殊な脂質環境中で結晶化し、大型放射光施設SPring−8のX線マイクロビームを利用して回折データを取得することにより、その結晶構造を2.4Å分解能で決定することに成功しています。(Science掲載)

2015年、名古屋大学、大阪大学らの研究グループは同じく大型放射光施設SPring−8のBL32XUを利用してクローディン19とウェルシュ菌が産生する毒素の一部(C−CPE)が結合した複合体構造を原子分解能で解明することに成功しています。(2015/2/13発行Science誌掲載)

クローディンが関わる病気

  • 低マグネシウム血症(マグネシウム欠乏ではすべての臓器が働かない)、高血圧、心筋梗塞、不整脈、糖尿病、筋肉の攣縮、イライラ感、めまい、運動失調、うつなど
  • 硬化性胆管炎
  • 難聴
  • C型肝炎ウィルスの感染経路

オクルディン

オクルディンはタイトジャンクションの形成に必要と考えられていましたが、オクルディン遺伝子を不活性化する変異を持つマウスを作製したところ、そのマウスは依然としてきちんとした形態を持つタイトジャンクションを有していました。
さらなる解析の結果、クローディンが発見されました。(つまりクローディンはオクルディンより後で発見されたということです。クローディンは日本の研究者である月田先生により発見されました)
オクルディンも4つの膜貫通ヘリックス構造があります。

顆粒層のタイトジャンクション近年、皮膚の顆粒層にあるタイトジャンクションもバリア機能において重要であるとわかってきました。

近年、皮膚の顆粒層にあるタイトジャンクション構造も、皮膚のバリア機能において重要であることがわかってきました。
(参考:実験医学 Vol.33 No.4(3月号)表皮バリア不全と経皮感作が招くアレルギー疾患:久保亮治 天谷雅行(慶応義塾大学医学部 皮膚科学教室))

タイトジャンクションはどこにある?

顆粒層の細胞を表面から順にSG1, SG2, SG3細胞とそれぞれ名付けると、SG2細胞の細胞間にのみタイトジャンクションが存在して、細胞間を通る物質移動を制限するバリアを形成しています(タイトジャンクションバリア)。

タイトジャンクションバリアと角質のバリア二重のバリア

SG1,SG2細胞がタイトジャンクションバリアの外側に分泌した様々な脂質が、角質層の細胞間を満たしてラメラ構造を形成し(細胞間脂質)、バリアとして働きます。また、角質層の細胞間には様々なプロテアーゼとその阻害剤、抗菌ペプチドなどが含まれています。

タイトジャンクションバリアは体内(タイトジャンクションバリアの内側)からの電解質やタンパク質の体外への漏出を防ぐだけでなく、角質細胞間を充填する様々な脂質・タンパク質のタイトジャンクションバリア内への逆流を防いでいると考えられます。
つまり角質層という構造は、タイトジャンクションバリアの外側で組み立てられる、補強的なバリア構造と捉えることが可能です。
角質層のバリアが先天的に脆弱であると、アトピー性皮膚炎や喘息、アレルギー性鼻炎といったアレルギー疾患の原因となることがわかってきています。

皮膚には、
空気による乾燥から細胞を守る頑丈な角質層によるバリアと、
角質層の内側で、生きた細胞と細胞の隙間をぴったりとシールするタイトジャンクションによるバリアの
2つのバリア(二重のバリア)が存在すると考えられるのです。

タイトジャンクションバリアと角質層のバリアの大きな違いは、そのダイナミズムです。
角質層のバリアは積み重なった10数層の角質細胞(corneocyte)から形成されますが、表皮の分化速度を考えると、いったん壊れた角質層のバリアを作り直すには、角質細胞を1枚1枚分化させて積み重ねていくのに1週間以上かかると予想されます。
一方タイトジャンクションバリアを構成するタイトジャンクションストランドは常に新生とエンドサイトーシスによる取り組みを繰り返しながら維持されている動的な構造であり、その破綻と再生は角質バリアとは比較にならない短時間のうちに起こると考えられます。
これは表皮バリア破綻の病態を考える上で、忘れてはならない重要なポイントです。

皮膚表皮には、自然免疫システムと獲得免疫システムが存在

皮膚表皮には、自然免疫システムと獲得免疫システムが存在し、角質とタイトジャンクションという2つの物理的バリアと協調して、外界から生体を多重に守るバリアシステムを形成しています。

皮膚のバリアを超えて抗原が侵入してくると、まず免疫系の樹状細胞が抗原を捉えます。
皮膚に存在する抗原取得細胞は、
表皮内に存在するランゲルハンス細胞(表皮樹状細胞)と、
真皮に存在する真皮樹状細胞の2種類に大きく分けられます。

ランゲルハンス細胞

ランゲルハンス細胞は樹状細胞と呼ばれるように、樹状突起を伸ばした、腕の長いヒトデのような形をした細胞です。樹状突起の腕を外に向かって伸ばしていますが、角質層とタイトジャンクションの2つのバリアの内側にいます。

とても面白いことに、ランゲルハンス細胞は角質層のダメージ(角質層のバリアが壊れて外来抗原が途中まで侵入してきた)に起因する何らかのシグナルにより活性化すると、タイトジャンクションのバリアの外側に腕を伸ばして、腕の先から積極的に抗原を取り込む(エンドサイトーシス)ことがわかりました。
ランゲルハンス細胞だけは、タイトジャンクションの外側に腕を伸ばして侵入してきた抗原を取り込むことができるのです。

炎症が生じた場合は抗原提示細胞であるランゲルハンス細胞がタイトジャンクションを壊すことなく、細胞突起を潜望鏡のようにタイトジャンクションの外側に突き出し、外界の抗原、異物を取り込むことを発見。
すなわち、タイトジャンクションのバリアの内側までは侵入してきていない敵を取り込んで、免疫系に「こんな敵がこれから攻め込んでくるかもしれない」ということを教えて、あらかじめ敵に備えておくことができるのです。予防的な免疫です。

ランゲルハンス細胞

またこの時、ランゲルハンス細胞と表皮細胞の間には新たにタイトジャンクションが形成されており、タイトジャンクションのバリアを保ったまま、その外側に当たる抗原を取得するという、非常に巧妙なメカニズムが存在します。
タイトジャンクションには細胞同士がくっついている部分にTricellulinという弱い部分があり、それらの部分を通して突起を伸ばしているのです。

そして角質層のバリアを破って侵入してきた抗原を捕捉し、表皮から出て最終的にリンパ管を通って所属リンパ節に移動して、リンパ節でT細胞に対して抗原提示を行うと考えられています。
つまりT細胞に、こんな抗原が皮膚にやっていたと教えるのです。そしてT細胞がB細胞を刺激して、その抗原に対するIgGやIgEが作られるようになります。

このことは、皮膚のバリアがただ受動的に敵の侵入を防ぐだけでなく、外部にある抗原を積極的に補足するメカニズムを持つことを示しています。タイトジャンクションという2番目のバリアでそれ以上の侵入を防ぐのです。
物理的なバリアである角質層のバリアと、タイトジャンクションのバリアの内側にランゲルハンス細胞に代表される免疫のバリアが存在しているのです。なお、真皮樹状細胞は真皮まで侵入してきた抗原を捉えると考えられています。

このように外部環境と接する皮膚は複数の要素からなる多元的なバリアを構築しています。
バリアの根幹をなす上皮、従来の概念のような単なる物理的障壁ではなく、免疫系と連動しながら積極的に生体防御に貢献していることが判明しつつあり、こうした統合的なバリアシステムは環境因子やサイトカインによってダイナミックに制御されています。

フィラグリンとアトピー性皮膚炎

2006年、尋常性魚鱗癬の原因として角質構成タンパク質フィラグリンの遺伝子変異が報告されました。
さらに、フィラグリン遺伝子に変異を持つことがアトピー性皮膚炎発症の要因となることが報告されました。
その後、フィラグリン変異を持つことは、湿疹を伴う喘息、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎などさまざまなアレルギー疾患と相関することが示され、フィラグリンと皮膚角質層バリア機能、および角質層バリア機能異常とアレルギー疾患発症との関連が、大きな注目を集めました。

しかしながら今日、人のフィラグリン変異の基本臨床像は尋常性魚鱗線であって、アトピー性皮膚炎でないことが考えられ、アトピー疾患の発症にはフィラグリン変異に加えて、環境因子や免疫学的な遺伝的背景が複雑に関わっていると考えられてます。(フィラグリン欠損マウス表皮のタイトジャンクションバリアには何らその形態・透過性に異常を見つけられなかったのです)

最近の報告では、フィラグリン欠損を持つことではなく、皮膚炎が存在することが、食物アレルギー発症の危険因子であること、皮膚炎が卵白アルブミンに対する危険因子であることが示されています。
アトピー性皮膚炎を出発点として、食物アレルギーや喘息を次々と発症していく現象は、アトピーマーチとして知られています。すなわち、アトピーマーチは皮膚炎を起因とした経皮感作の更新によって誘導されている可能性が高いのです。その分子メカニズムの1つとして、アトピー性皮膚炎の皮膚では、ランゲルハンス細胞によるタイトジャンクションバリア外からの抗原取得機構を通じて、経皮感作が亢進している可能性が示唆されています。

アトピー性皮膚炎

アトピーの疾患が、これまで考えられてきた免疫の異常だけが原因なのではなく、皮膚、主に角質層の物理的バリアの異常が引き金となって、発症してくる病気だということが、わかってきています。
さらに、皮膚を通して経皮的に感作されることで、皮膚炎だけでなく、喘息などの全身のアレルギー疾患を引き起こしてくると考えられます。

角質層の内側では、もう1つのバリアであるタイトジャンクションのバリアと、抗原を取り込むランゲルハンス細胞とが協調しあって、普段は病原体に対する免疫を作り出すのにうまく働いているのですが、その仕組みが、角質バリアの異常があると、アレルゲンを取り込んでしまってアレルギー感作を成立させてしまうように働いてしまうのでないかと考えます。

軽度の炎症がある状態のアトピー性皮膚炎ではタイトジャンクションバリアの透過性に明らかな変化は見られませんでしたが、活性化したランゲルハンス細胞の数が増加しており、タイトジャンクションバリアとランゲルハンス細胞樹状突起とのドッキングも増加していました。また活発な樹状突起の先端によるエンドサイトーシスが起こっていることも推察されています。

新生児からの積極的な保湿剤の概要により、アトピー性皮膚炎の発症率を下げられることが相次いで示されており、今後、皮膚炎を抑制するような積極的な治療介入を行うことによって、アトピー性皮膚炎の発症抑制だけではなく、アトピーマーチを抑制し、食物アレルギーや喘息の発症率を下げられるようになることが期待されています。

これまでは免疫の異常として捉えられていたアトピー性疾患に皮膚のバリア異常という新たな視点が持ち込まれました。
皮膚のバリア異常という新たな視点が持ち込まれたことによって、大きく研究が進展し、皮膚バリアケアによるアトピー性疾患の予防という臨床的なベネフィットも視界に入ってきました。近年のアトピー性皮膚炎の急激な増加は、スキンケアの習慣の変化(入浴時の石鹸による洗いすぎや、空調による湿度低下による皮膚バリアダメージの増加)が大きく影響しています。啓蒙活動が必須です。

実験医学 Vol.33 No.4(3月号)表皮バリア不全と経皮感作が招くアレルギー疾患:久保亮治 天谷雅行(慶応義塾大学医学部 皮膚科学教室)より

病気は遺伝子と環境の相互作用で発症します。感染症は環境因子の影響が強く、その意味で生体と外界の境界をなすタイトジャンクションが果たす役割は大きく、自然免疫の最初の関門と言えるでしょう。
タイトジャンクションは、通常あらゆる異物に対して閉じられていますが、異物からの刺激やサイトカインストームにより一旦開くと、その機能はダイナミックに変化します。

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