金属石鹸(石鹸かす)について

金属石鹸(石鹸かす、スカム)とは

お風呂で石鹸を使った後、お湯に白いかすのようなものが浮かんだり、洗面器に白いものが付着することがあります。この白い物体が金属石鹸(石鹸かす)です。

石鹸で落ちた垢だと思っていた方もいらっしゃることでしょう。(垢も混ざっていると思いますが…)
また、粉石鹸で洗濯をすると、やはり白いつぶつぶが洗濯物についたりします。これも金属石鹸です。これが嫌で合成洗剤にされた方も多いのではないでしょうか。

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なぜこのような金属石鹸ができるのでしょう?

これは石鹸成分の脂肪酸イオンが、水道水成分や身体の汚れに含まれるカルシウムやマグネシウムと反応して脂肪酸カルシウムや脂肪酸マグネシウムになるからです。

水の中で溶解した界面活性剤分子は集合してミセルという分子集合体をつくります。
ミセルが汚れを包み込み、汚れを包み込んだままのミセルを水で洗い流すことで、界面活性剤は汚れを落としています。
ところが、そのミセルに汚れよりも先に金属が結合して金属石鹸になってしまうと、汚れをおとしたり、泡を作ったりする界面活性作用が失われてしまうのです。これを失活するといいます。
ですから、金属イオンをたくさん含む水を使うと石鹸の泡立ちが悪くなります。

石鹸の原料として一般的な、オイルに含まれる脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸など)はすべて金属石鹸を生成します。

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金属石鹸(石鹸かす)はその名前の通り、「かす」なのでしょうか?

カルシウム、マグネシウム、アルミ、鉛などが結合した石鹸かすは、滑性があり水に溶けにくい、あるいは溶けないので錠剤やプラスティック製品の離型剤をはじめとする様々な工業で使われてきました。
食品や化粧品にも顔料分散剤、潤滑剤、乳化安定剤、ゲル化剤などとして使われています。

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石鹸の泡立ちが悪いって思ったことはないけれど……

日頃、私たちは石鹸の泡立ちが悪いと感じることはあまりありません。
実は、日本は世界でも珍しい軟水(金属=ミネラルの少ない水)の国と言われています。
それは…

  1. 日本の水に軟水が多いのは、平地の大部分がカルシウムを多く含む石灰質ではなく、シリカ(SiO2)に多い火成岩土壌でできているため
  2. 国土が狭い上に川や地下水の流れる速度が速く、ミネラルが水に溶け込む時間が短いため

しかし、炭酸カルシウム(CaCO3)を主成分とする石灰岩層で形成されている沖縄本島中・南部などの井戸水や、温泉のなかでもイオウの香りがするや硫黄泉、美肌の湯と言われる食塩泉の温泉水はミネラル分が多く、そのような場所では石鹸の泡立ちが悪くなります。

ところで硬水と軟水はどう分けられるの?
水の性質を示す指標のひとつに「硬度」があります。
水が大地を通り抜けるあいだに、岩石に含まれるミネラル(金属)イオンが水の中に溶け込み、これらミネラルが水においしさを与えます。適度な量のミネラルは生物の生存にとって必須のもの。ミネラルは酵素反応や代謝を円滑にすすめるために必要な栄養素です。ミネラルの代表はカルシウムイオンとマグネシウムイオン。これらのミネラルをたくさん含む湧き水は硬水とよばれ、しっかりとした味の水となります。一方ミネラルの量が比較的少ない水は、軟らかく優しい味の軟水。場合によっては炭酸を含んだ水、天然のサイダーもあります。
通常、河川や地下水に含まれる金属イオンは主にナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのイオンですが、水の硬度は、その中に含まれるカルシウムやマグネシウムを「炭酸カルシウムの量」などに換算したものです。
硬度の基準は国によってさまざまですが、日本ではカルシウムとマグネシウムの量を量るアメリカ硬度を採用しています。アメリカ硬度の他に単位は違いますが同じものを量っているドイツ硬度、炭酸カルシウムの量を量るフランス硬度とイギリス硬度などがあり、それぞれ換算の方法や単位が違います。その土地の実情に合わせた硬度が測定されてきたのでしょう。
戦前の日本ではドイツ硬度が使われていましたが、最近は硬度といえばアメリカ硬度のことを指します。日本では概ね100mg/Lで軟水と硬水を区別していますが、WHOでは下記のように定めています。
一般的な名前(日本) 軟水 硬水    
硬度 0~100mg/L 100mg/L以上    
WHOの分類 軟水 中軟水 硬水 非常な硬水
硬度 0~60mg/L未満 60~120mg/L未満 120~180mg/L未満 180mg/L以上
日本の水は軟水?
上記の表にあるように、一般的には硬度が100未満の水を軟水と呼ぶことが多いのですが、日本で水道水の原水となっている河川、湖沼、ダムの水、地下水の硬度は92%が100未満で軟水です。
(平成22年度 水道統計水質分布表より)
日本の水道水は世界でも有数の軟水、つまり金属イオンが少ない水で、平成22年度水道統計によると50mg/L(ppm)以下の地点が60%を越えており、94.5%の地域の水道水が100mg/L以下です。厚生労働省の水質基準では硬度は300mg/L以下であることが定められていますが、これは石けんの泡立ち等への影響を防止する観点から定められた基準です。「快適水質項目目標」と「おいしい水の水質要件」は10~100mg/Lとなっています。以前は硬度の高い水道水もありましたが、水源の硬度が高い地域では硬度低減化装置を導入して、ちょうどよい硬度になるよう努力しています。 日本の水は石けんを使うのに適しているといえます。
金属を含まない水
金属イオン(ミネラル)を含まない水、つまり薬局に売っている精製水や軟水器を通した水を使えば、泡立がよく、金属石鹸は発生しません。でも、常にそのような水を使うことは経済的な負担が大きい上に、ミネラルを含まない水は飲んでもおいしくありません。
また、軟水器を通した水は、石鹸を使うと肌はしっとり、髪もつやつやに洗いあがるなど好都合なのですが、簡単に軟水を作ることが出来る「手作り軟水器」などでは、細菌汚染が問題になることがあります。
さらに、電気ポットややかんに付く水垢は、水の中にあるマグネシウムやカルシウムが原因ですが、この様にミネラルが加熱により析出する性質は、工場のボイラーなどで配管のつまりを起こして熱効率を悪化させることが知られています。だから工場の中には、水垢の発生を防ぐためにミネラルを取り除くための軟水機を取り付けているところもあります。
IT産業では洗浄に純水が使われていましたが、半導体素子の性能向上や回路パターンの微細化にともない、金属だけではなく、有機物や微粒子、気体までが取り除かれた超純水がつかわれるようになりました。 以前は洗浄後に何も残らないとして金属を含まない純水と、合成界面活性剤ではなく純石けんが用いられていましたが、現在ITの世界では超純水とカチオン界面活性剤(陽イオン界面活性剤)が使われています。
世界の水
日本で販売されている海外の天然水からいくつか硬度を調べてみました。
外国産のものは硬度の高いものが多いですね。
○フランスの「コントレックス」硬度1551mg/L
○ロシアの「ラストチカ」硬度1445mg/L
○フランスの「ヴィッテル」硬度307mg/L
○フランスの「エビアン」硬度302mg/L
それぞれ、ミネラルの補給によいとうたっています。
コントレックスはダイエットに・・・と書いてありますが、もし効果があるとすれば、緩下作用(便通を良くする作用)が効果をあらわしていると考えられます。
日本には硬度の高い天然水はあまりないのですが、硬度261の水がありました。北上山地で採れる早池峰(はやちね)霊水です。これはホントの例外で、むしろ硬度の低い不純物の少ない水が日本のミネラルウォーターの特徴です。

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金属石鹸を流してしまっても大丈夫?

配水管に流れ込んだ金属石鹸は、配水管に張り付いたりしながら下水処理場へ運ばれるか、そのまま河川に流れ込み、いずれは100%が微生物などにより水と二酸化炭素に分解されて自然に戻ります。これを生分解率100%といいますが、その意味では石鹸は環境を汚すものではありません。

しかし、流される量が多いと下水処理施設の負担が大きくなる、また、河川に直接流された場合には、状況によっては微生物が増えすぎて河川や湖沼を汚すという側面もあります。

どのくらいの量が金属石鹸になるの?
使用する石鹸、使用する水などで異なりますが、例えば100%純石鹸の洗濯石鹸(つまり添加物の一切ない石鹸)を標準使用量で使い、硬度が50mg/Lの水で洗濯をした場合、およそ1/4の石鹸分が金属石鹸になってしまいます。これらは洗いあがりの洗濯物にも付着してしまうので、洗濯に対する満足度はガクンと下がってしまいます。
そのため、市販されている洗剤の多くは金属石鹸ができないよう、助剤(添加物)が配合されています。
例えば金属を捕まえて石鹸と反応しないようにする金属封鎖剤や、炭酸ナトリウムのように石鹸液のアルカリ性を保つものなどです。
金属封鎖剤として代表的なものにエデト酸があります。しかしエデト酸は皮膚障害を起こしたりとPRTR法に指定され、今はエチドロン酸などが使われています。しかしすべての金属封鎖剤の安全性が確認されたわけではありませんから、注意が必要です。

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合成界面活性剤は金属石鹸を作らないときいていますが…?

そのとおり!合成界面活性剤の大部分が金属石鹸を作りません。これは合成界面活性剤の1つのメリットと言えるでしょう。
金属石鹸を作る合成界面活性剤や石鹸と同じく、「陰イオン界面活性剤」に分類されるものにLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)があります。LASは40年ぐらい前から洗剤として広く使われてきましたが、金属と結合して水に溶けなくなる性質があります。しかし、他の陰イオン界面活性剤と共存した場合には水溶性を保ちます。また、石鹸の金属塩は水に不溶ですが、他の大部分の陰イオン界面活性剤は、金属塩になっても水に溶ける性質があります。

いくつかのメーカーの洗剤を調べてみたところ、LASを配合している洗剤には、かならずAS(アルキル硫酸エステル塩)やα-SF(αスルホ脂肪酸メチルエステル塩)などの陰イオン界面活性剤が配合されていました。金属石鹸はできても目に見える石鹸かすにはならないということです。
ただし、LASは下水処理場では99.5%が分解されますが、そのまま河川に流された場合には分解性はよくありません。
さらに、2005年に OECD(経済協力開発機構)がLASの「環境への影響」について、生態リスクは低いと公表していますが、裏を返せばリスクはゼロではないということを忘れてはならないでしょう。

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金属石鹸を溶かす方法

洗い上がりの洗濯物にこびりつく石鹸かす。これは金属石鹸(石鹸かす)が中性の水には溶けない性質を持っているからですが、実は水が酸性になると溶けてくれます。

石鹸水

左の図は石鹸水です。
石鹸成分が水道水中のミネラルと反応して白く濁っています。

石鹸水+にがり

左の図は石鹸水に、ミネラルをたくさん含むにがりを加えた様子です。
含まれているマグネシウムイオンなどと反応して、より多くの金属石鹸ができているのがわかります。

石鹸水+にがり+クエン酸

左の図は、さらにクエン酸を加えた様子です。
ここへ水溶液を酸性にするためにクエン酸を加えました。
金属石鹸の一部が溶けていることがよく解ります。

石鹸で洗髪すると髪に白いものが残ることがあります。
これは髪に張り付いている金属石鹸ですが、それを取り除くことと、アルカリ性になったため開いたキューティクルを閉じるために、クエン酸やお酢でリンスをします。
ここで注意しなくてはならないのは、酸性になった時に金属石鹸は脂肪酸イオンとミネラルに分かれているということです。脂肪酸イオンはべたべたした油の一種ですから、石鹸を十分に洗い流してからリンスをしないと余分な脂肪酸がまた髪に付着してしまいます。
洗濯にしても同じことで、石鹸かす防止のための酸性リンスは、石鹸を十分に洗い流してから使う必要があります。

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石鹸で洗顔するということ

石鹸で洗顔すると、使った水や皮膚上にあるミネラルが石鹸成分とくっついて金属石鹸を作り、その一部は皮膚上に残ります。金属石鹸は皮膚に悪影響を及ぼさないと言われており、うさぎの急性皮膚刺激性試験と眼粘膜刺激試験で無刺激という結果も出ています。

また、皮膚上に残った金属石鹸は、数時間で分解されます。
それは、皮膚が酸性に傾くことと、常在菌が金属石鹸を分解するためであると考えられます。

ミネラルを含まない軟水を使うと、金属石鹸はできず、皮膚上には脂肪酸イオンが残るためぬるぬるした感触が残ります。石鹸を使うとさっぱりするのは、ぬるぬるするイオンが水に溶けない金属石鹸となるからだといわれています。
しかし、皮膚に残った金属石鹸は保水性がないのでつっぱり感の元になるという説もあります。 酸性の化粧水を使うことは、アルカリ側に傾いた皮膚のpHを弱酸性に戻すだけでなく、皮膚上に残った金属石鹸を早く分解するためにも意味があるといえます。

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ドクターズオーガニックの無添加オーガニック洗顔石鹸

ドクターズオーガニックの洗顔料は、油脂を鹸化して作った無添加オーガニック洗顔石鹸です。
合成界面活性剤ではなく石鹸を選択したのは、肌への影響を第一に考えた結果です。
そして、金属封鎖剤などの添加物も一切加えていない無添加石鹸です。
そのため、水道水を使うと石鹸かす(金属石鹸)ができます。

石鹸かすが環境に与える影響が皆無でないことは百も承知ですが、100%自然にもどるという事実を大切にしたいのです。
また、皮膚上に残った金属石鹸についてですが、これは通常、数時間で分解されます。皮膚への悪影響は特に報告されていませんが、つっぱり感の原因のひとつとも言われます。

もし、ドクターズオーガニックの無添加オーガニック洗顔石鹸を使った後に、つっぱり感が気になった場合は、洗顔後すぐにドクターズオーガニックの無添加オーガニック化粧水をつけてください。この化粧水はアルカリ性に傾いた皮膚のpHを弱酸性に戻す働きがありますので、金属石鹸を早く分解する助けにもなります。

ドクターズオーガニックが無添加オーガニック洗顔石鹸に天然水を使ったわけ
ドクターズオーガニックの無添加オーガニック洗顔石鹸は、精製水ではなく天然水を使用して作っています。この天然水は、急峻な立山連峰を駆け下りてきた、地元富山の湧き水です。高い山から一気に平野に流れてくるため、含有ミネラル分が少ない硬度の低い水です。そして、温泉の基準のひとつでもあるメタケイ酸という天然の保湿成分を含んでいます。
通常、石鹸を作る時には、ミネラルを含まない精製水を使用しますが、硬度が低くて製造に問題はないこと、また、メタケイ酸を含んでいることからあえて天然にこだわりました。

※メタケイ酸(H2SiO3)は酸素と水素とシリカでできた物質です。
シリカ(Si)はケイ酸とも呼ばれますが、水晶やガラス、珪藻土、砂の成分で、地球の表層の約6割はこのシリカを含む鉱物でできています。人体にも少量ですが存在しています。メタケイ酸を1kgあたり50mg以上含んでいる湧水は温泉水として認められることが温泉法という法律で決まっています。メタケイ酸の塩類は、炭酸ナトリウムなどとともに無機塩類に分類されますが、無機塩類には末梢血管の血流量を増加させて新陳代謝を促す、角質を柔らかくする、殺菌、収斂、石鹸の泡立ちを良くする等の作用が知られています(日本化粧品工業連合会:化粧品分野における公知技術集 2012年版)。特にメタケイ酸は、美肌の湯といわれる温泉水に多く含まれています。

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