有棘層（表皮の中で最も厚い層）の解説と働き

有棘層トゲトゲ？の細胞が角化へ向けて進行中！表皮の中で最も厚く、強力な抗原提示細胞であるランゲルハンス細胞が存在しています。

名前の由来

デスモソームがお互いに向き合った側では、中間径フィラメントを囲むように小さな突起（棘状突起）ができて、その小突起へと細胞は引っ張られます。そして顕微鏡組織標本作成時に細胞がやや縮むので、細胞表面に多数の棘として現れるようになり、これが有棘層の名前の由来となりました。

有棘層は、表皮を構成する層の中で、最も厚い層（８～１０層）です。
有棘層の表皮細胞は、有棘層下層側では多角形ですが、上昇するにしたがい扁平となります。
核はクロマチンが少なく円形をしています。

フィラメントをどんどん作り、角化に向けて細胞内部でいろいろ進行しています。
フィラグリンと周辺帯に関連するタンパク質の転写開始やオドランド小体も発現し始めます。

有棘層のケラチノサイト

ケラチノサイトは活発なタンパク質合成を反映して、核は大きく明瞭で、一部は分裂能を有しています。
特に基底層の真上に位置する細胞群は細胞分裂を活発に行うので、
基底層と合わせて「胚芽層（マルピギー層）」と呼ぶこともあります。（基底層のみを胚芽層という場合もあります。）

有棘層の隣接する表皮細胞同士は、細胞膜が互いに複雑に入り込み、かつ細胞間橋（intercellular bridge）とよばれる構造で強く結合しています。
この結合が棘の様に見えるのです。それぞれのこの棘状の突起においては、細胞同士を強固に結びつけるデスモゾーム内にケラチン中間系フィラメントの束が挿入されています。この配列により、皮膚に強度と柔軟性が与えられるのです。

細胞質はこの太さ7～10nmのケラチン中間径フィラメントで満たされています。

ケラチノサイトの他に、ランゲルハンス細胞、及び基底層から伸びるメラノサイトの突起も見られます。

有棘層の中間径フィラメントトノフィブリル/張原線維

細胞間橋は、ケラチン中間系フィラメントの束が含まれた「デスモゾーム」接着により、細胞同士を強固に結び付けています。

摩擦や圧力が絶えず加わる部位（例えば足底）の表皮は、中間径フィラメントやデスモソームがより豊富に分布し、よく発達した厚い有棘層を持っています。

ケラチンは5、14に代わって、ケラチン1（タイプⅡ）とケラチン10（タイプⅠ）が発現します。

層板顆粒（オドランド小体）lamellar granules/ラメラ顆粒

有棘層の上部から顆粒層にかけて、球状ないし楕円体状の直径100～300nm小体がみられます。
この小体は膜で囲まれ、内部に種々の脂質からなる板（セラミド、コレステロール、遊離脂肪酸をほぼモル比で１：１：１で含有）が多層化した層板状構造をもち、層板顆粒と呼ばれます。

有棘細胞内で形成される、ゴルジ装置由来のこの顆粒は、脂質に富む物質の初期形成物で、さらに表層の細胞へと受け継がれていきます。やがて顆粒層の細胞質に到達した層板顆粒は、アポトーシスに陥る時に形質膜と融合し、エクソサイトーシスによって、糖タンパクや酵素を含む分泌物が細胞外に分泌され、顆粒層、淡明層、角質層の細胞間隙に沈着します。
これが脂質層を作り、角質細胞の周囲を取り巻く角質細胞間脂質を形成し、水分を表皮から透過できないように、および異物の侵入を防ぐバリアを形成します。 （このバリアーは爬虫類において初めて出現、動物が陸上で進化する上で重要かつ革新的な出来事としてあげられます）

角質細胞間脂質は角層の接着因子（コルネオデスモシンなど）、抗菌ペプチドなど、角層の形成や構成成分に関わる数多くの分子をパッキングしているため、角層の形成にも非常に重要です。角化や保湿などに関与するということです。

層板顆粒もケラトヒアリン顆粒も、角化の初期、顆粒層内～角質層内に現れます。

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