顆粒層stratum granulosum/granular cell layer
顆粒層数層しかないのにこの層の細胞は忙しい!劇的変化中、アポトーシス進行中、ケラトヒアリン顆粒(層板顆粒)の発現
表皮の中で、角質層(+淡明層)と有棘層の間の層を顆粒層と言います。
核も含めて扁平で、2~5層重なっていて、薄い表皮では顆粒層も薄くなっています。
顆粒層のケラチノサイトは表面に近づくにつれて多角形の形を失い、徐々に平たくなります。
名前の由来ケアトヒアリン顆粒と層板顆粒
顆粒層のケラチナサイトの細胞質は、大きさ・形状も様々な顆粒を多量に持っています。この顆粒は特有な物質として観察され、ケラトヒアリン顆粒と呼ばれています。このケラトヒアリン顆粒を細胞質に含むことが、顆粒層の名称の由来となりました。
その他、多数の直径約0.5μの膜で包まれた卵型をした層板顆粒も含みます。
ケラトヒアリン顆粒も層板顆粒も角質化の初期に現れます。
また、周辺帯も構成され始めています。
アポトーシス顆粒層最大イベント!
顆粒層は、角質層へと最終分化に進む過程にあり、アポトーシス(遺伝的にプログラムされた秩序正しい細胞死)中のケラチノサイトからなっています。言い換えると、代謝的に活発な深層と、死細胞からなる表層の変わり目の目印となる層でもあります。
カルシウムイオンは顆粒層に多く存在し、顆粒層のケラチノサイトが角質層に変化する際に必要な成分です。
顆粒層のケラチナサイトの核および他の細胞小器官は、栄養源(真皮の血管)から離れて移動するにつれて、変性を始め、核や細胞内小器官が破壊され、この時、破壊されると同時に、ケラチンや層板顆粒を合成するようにプログラムされています。
顆粒層のタイトジャンクション免疫最前線
顆粒層の細胞を表面から順にSG1, SG2, SG3細胞とそれぞれ名付けると、
SG2細胞の細胞間にのみタイトジャンクションが存在して
細胞間を通る物質移動を制限するバリアを形成しています。
顆粒層の中間径フィラメント(ケラチン)
顆粒層のケラチナサイトはもはやケラチン中間径フィラメントを産生しませんが、細胞小器官の退縮により、ケラチン中間径フィラメントが一層明瞭になってきます。
顆粒層では、フィラグリンやその他のケラチン関連タンパク質と固く結合し、凝縮した束になって細胞質を満たし、ケラチノサイトを扁平にさせています。
最終的には細胞内はケラチンだけで満たされるようになります。
角化という重要な過程の中では、細胞質全体にまで及ぶ大きな構造体へと転換する前段階のものとして位置付けられます。
ケラトヒアリン顆粒
顆粒層の細胞を電子顕微鏡で見ると、多数のフィラメントの束が交錯し、このフィラメント間に、強塩基好性(好アルカリ性)で電子密度の高いケラトヒアリン物質が沈着し、ケラトヒアリン顆粒を作っています。
顆粒は膜には包まれず、フィラグリンタンパク質の前駆体、プロフィラグリンを主成分とし、RNA・糖質・脂質などを含みます。プロフィラグリンは500kDaほどある巨大分子で、1分子につき10~12個のフィラグリン分子を中に持っています。
顆粒がケラチノサイトが表層で角化する時、プロテアーゼの作用(脱リン酸化)によりフィラグリンに分解されます。
ケラトヒアリン顆粒も層板顆粒も、角化の初期、顆粒層内~角質層内に現れます。
ケラトヒアリン顆粒には少なくとの形態的に異なる2種類があり、プロフィラグリンを含む方をF顆粒、ロリクリンを含む方をL顆粒と呼んだりします。
プロフィラグリンとフィラグリン
フィラグリンは顆粒細胞で産出されるアルカリ性のタンパク質の一種で、角質細胞の主成分であるケラチン線維を凝固させ、ケラチンフィラメントの間を埋めます。つまりケラチンフィラメントとケラトヒアリンの組み合わせがケラチンを生じるということです。
その後、フィラグリンは角質上層でアミノ酸などに分解され、この分解されたアミノ酸が天然保湿因子(NMF:natural moisturizing factor)になります。